歌丸50年出演の「笑点」降板 「体力の限界」22日ラスト

[ 2016年5月1日 05:30 ]

半世紀出演した「笑点」への思いを語る桂歌丸

 落語家の桂歌丸(79)が30日、50年出演している日本テレビの人気演芸番組「笑点」から降板すると発表した。都内で行った「笑点50周年記念スペシャル」(15日後5・00)の収録と収録後の会見で明らかにした。昨年6月に入院するなど、近年は番組を休むことも増え「体力の限界なんです」と説明。番組の50周年と落語家生活65年の区切りの年に決断した。22日の生放送が最後の出演となる。

 「大喜利の司会を5月22日で最後にしたい。若い人に譲らせていただきます」。笑点スペシャルの収録で、歌丸から発せられた突然の発表に客席から「え~!!」という声が上がり、日本テレビ関係者からもどよめきが起こった。

 現在のレギュラー陣の中でただ1人、1966年の放送第1回から出演する番組の最大の功労者。今後はレギュラー出演をやめ、直前のPR番組「もう笑点」に出演する。番組降板は制作スタッフの一部と出演者しか聞かされていなかった。局によると、後任については検討中という。

 驚きが広がる中、歌丸は会見で「単純に体力の限界。若い方々にお譲りして、番組を60年、70年と続けていきたい」と語った。

 09年2月に患った肺気腫が体に与えたダメージが大きかった。「歩くと息切れを起こすほど苦しいし、今後も司会を続けるとスタッフや出演者仲間に迷惑をかけると思った」。10年3月には肺炎で2週、14年、15年にも長期間番組を休んだ。昨年9月に降板を決断し局側に伝えていたという。

 半世紀にわたって出演した番組を去ることに「正直、寂しい思いもある」と話した歌丸に、局側は「終身名誉司会」の称号を贈った。

 落語については「続けます」ときっぱり。「毎年春と夏は国立演芸場で大きな寄席をやっているし、覚えたい噺(はなし)もまだたくさんあります。少し楽をして落語の勉強をしっかりやりたい」と高座への全力投球を誓った。

 会見終了間際に「最後に一つだけ」と自ら手を挙げ、「50年続いたのは、一度も陰惨な事件や暗いニュースを取り上げなかったから。親が子供の耳をふさぐことはないように、と思って作り続けたからでは」と胸を張った。

 ◆桂 歌丸(かつら・うたまる)1936年(昭11)8月14日、神奈川県生まれの79歳。出囃子(でばやし)は「大漁節」。51年に古今亭今輔に入門し古今亭今児を名乗る。54年に二つ目昇進。一時落語界を離れたこともあったが復帰し、64年に現在の桂歌丸に改名。68年に真打ち昇進。04年には落語芸術協会の会長に就任。07年には落語での功績により旭日小綬章を受章した。

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