ABC・清水アナ教師転身へ 44歳“スポーツの顔”異例の挑戦

[ 2016年3月19日 09:25 ]

教員への転身への決意を語った清水次郎アナ

 テレビ、ラジオのプロ野球阪神戦や高校野球中継の実況でおなじみ、ABC・清水次郎アナウンサー(44)が、中学または高校の社会科教師への転身を目指して6月中旬に退社することが18日、分かった。放送局の看板アナが、入社22年のキャリアや安定した収入を捨ててまで挑む異例のチャレンジ。「甲子園で出会った監督の方々のように、思春期の生徒と本気で向き合いたい」と情熱を燃やしている。

 清水アナによると、少年少女が加害者となる事件を自らが伝える中、かねて「何で若くて未来があるのに」と心を痛めていたという。マスコミの世界で働く者として貢献方法があると思う一方で「どうしてもそれは遠い」と感じながら、子供たちにできることをあらためて自問。導き出した結論が「教師になろう」ということだった。

 学生だった早大時代は教員免許を取っていなかったため、2011年秋から通信教育で中・高校社会科の教職課程を履修し、4年かけて免許を取得。7月の採用試験に向けて3月末でアナウンサー業務を終え、今後は受験勉強に専念する。妻と幼い2人の息子を持つ家長として不安もあるが、妻の応援に背中を押されたという。

 ABCの阪神関連番組「虎バン」初代ナビゲーターを03年から11年間務め、夏の甲子園決勝のテレビ実況も07年以降、7回担当。「子供のころから好きな阪神や高校野球に携われる夢のような日々」と現職への愛情は深く、「実況できなくなるのは正直、寂しい」と打ち明ける。

 親交のある星稜高(石川県)元監督の山下智茂氏(71)からは転身について「やめなさい。下積みがあって今の地位があるんだから」と諭される一方、「教師の仕事はお金は残らないけど、人が残る素晴らしい職業だよ」という言葉をもらった。ラジオ番組で共演する元阪神・赤星憲広氏(39、スポニチ本紙評論家)からも「“らしい”と思う」と言われたという。

 後輩アナに実況指導する際に繰り返し同じことを注意するという「しつこい性格」。そのことは、教育現場ではプラスに働くと信じている。「必ず1つは人を笑顔にしたり幸せにできる力を子供は持ってる。それをしつこく一緒に探す先生になりたい」と話した。

 21日にABCラジオ「福本豊の虎たまデラックス!」(後8・45)でリスナーに自ら報告。24日の「おはようパーソナリティ道上洋三です」(前6・30)でも語る予定。

 ◆清水 次郎(しみず・じろう)1971年(昭46)10月12日、東京都狛江市出身。早大第一文学部卒。94年4月、ABC入社。95年、夏の全国高校野球選手権大会で実況デビュー。96年6月、富山で開かれた広島対阪神戦でプロ野球初実況を務めた。現在は、ラジオでの野球実況を主に担当。妻は気象予報士の山崎美和さん。

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