椎名桔平、仲代達矢らとの共演に「胃が痛い」俳優歴30年も貪欲

[ 2015年10月11日 09:30 ]

白衣でインタビューに応じた椎名桔平。冷徹な医師を演じる

椎名桔平インタビュー(上)

 大人の男の色気が漂う俳優・椎名桔平(51)。クールなマスクの下に見え隠れする独特の妖しさが魅力で、個性的な役から暗い過去を背負った役まで、心のひだを巧みに映し出す。俳優歴30年のベテランだが、まだまだ成長に貪欲。人生経験を積んで「これからもっと楽しくなる」とゴールのない俳優道を駆け上がっている。

 1メートル80の長身で、学生時代、サッカーで鍛えた引き締まったスタイル。ロケで焼けた浅黒い肌に白衣が映える。「サッカー部だったといっても昔の話。なんの貯金もないですよ」と謙遜するが、放送が始まったNHKのドラマ「破裂」(土曜後10・00)で見せるランニング姿は50代とは思えない軽快さだ。ランニングが趣味の役どころのため、7月のクランクインに向けて年明けから定期的に走って体づくり。そんなストイックさをさらりと明かす一方、「白衣でインタビューを受けてると、カウンセリングをしてるみたいだね」とおちゃめな笑顔を見せる。このギャップが、色気と妖しさを生み出す理由の一端のようだ。

 「破裂」で演じるのは、老化した心臓を若返らせる“夢の治療法”で医学史に名を残そうと野望を抱く心臓外科医・香村。「医者は3人殺して一人前」が持論で、共演者やスタッフが「怖い」と口をそろえるほど冷徹な役にはまっている。

 「香村自身はガードしているつもりでも弱さの隙間がある。魅力的な役で楽しんでいますが、挑んでくるキャラクターが個性的でつわものなので感情の部分の芝居が難しい」

 対峙(たいじ)するのは、自分と母親を捨てた父親役の仲代達矢(82)や天才官僚役の滝藤賢一(38)。「当たり前の芝居をする人たちじゃないから現場に行くないと分からない。本当にセッションという感じで、瞬間で反応したり気が抜けずに胃が痛くなったこともあるけど楽しい」と大きな手応えを感じている。

 現場では仲代を熱心に観察。1999年の映画「金融腐蝕列島 呪縛」で同じ作品に出演したが、共演シーンはなく、向き合って芝居するのは初めて。「本番以外のお姿もよく拝見させてもらいました。本番までに何かを変えていくのかなとか、雰囲気なども含めて。こんなチャンスはなかなかありませんから」。喜々として話す姿に、役者として成長し続けようとする貪欲さが表れていた。

 ◆椎名 桔平(しいな・きっぺい)1964年(昭39)7月14日、三重県生まれ。86年に映画「時計 Adieu l’Hiver」でデビュー。「金融腐蝕列島 呪縛」で日本アカデミー賞助演男優賞など受賞。主な出演作はフジテレビ「Age’35 恋しくて」(96年)、TBS「刑事のまなざし」(13年)、映画は「GONIN」シリーズ(95、96年)、「さくらん」(07年)、「アウトレイジ」(10年)など。血液型B。

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