好評「ゲゲゲの女房」若い世代が支持する専業主婦のヒロイン

[ 2010年8月31日 08:48 ]

 漫画家水木しげるさん夫婦をモデルにしたNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が好評だ。平均視聴率が1けたの連続ドラマも少なくない中、最近は20%前後で推移している。このドラマ、何が受けているのだろう―。(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

 ▽「早く終わって」
 ドラマは、水木さんの妻、武良布枝さんの自伝が原案。無名漫画家と結婚したヒロインが極貧暮らしを乗り越え、夫と一緒に夢をつかんでいく姿が、昭和の空気と重ね合わせて描かれている。
 今春、主な視聴者である女性の生活時間が早まっているとして、これまでより15分早い午前8時開始となった「朝ドラ」。「ゲゲゲの女房」は初回視聴率こそ14・8%と、統計のある1964年以降で最低だったが、その後はじわじわと上昇。大手出版社から仕事が舞い込み、貧乏脱出のチャンスが到来した7月12日には最高視聴率21・8%を記録した。その勢いに「早く終わってほしい」と漏らす民放幹部も。
 ノスタルジーを呼び起こす昭和の風景や水木さんのユニークな人柄、「ゲゲゲの鬼太郎」といった人気漫画の制作秘話、キャストの好演など…。見どころもさまざま。
 「日常のやりとりを丁寧に描いていて、家族のきずなや温かさが伝わってくる」と語るのは日大芸術学部の中町綾子教授(テレビドラマ表現研究)。最近のテレビドラマは、主人公1人が夢を追う「自己実現型」は減り、周りと一緒に幸せを目指す作品が増えているといい、「(今回は)まさにそのタイプ。時代に合っている」と話す。
 ▽若い世代も支持
 一方、若者のトレンドに詳しいマーケティングライターの牛窪恵さんは、ヒロインが専業主婦であることに注目する。「雇用環境の悪化などから、若い女性は専業主婦志向が高く、家庭に重きを置きたい人が増えている。夫を支えるヒロインはあこがれの対象で、寄り添って生きる夫婦に理想を見ているよう。華美なものを嫌う“反バブル”的な風潮もあり、つつましく、でも着実に成功していく展開にも癒やされているのでは」
 NHKによると、朝ドラの主人公は70年代半ば以降、何かに挑戦する「働く女性」がほとんど。今回のように、控えめで受け身のヒロインは“異例”という。「若い世代にもよく見られている」と谷口卓敬チーフプロデューサー。脚本の山本むつみさんは「どんな時代も大半の人は日常に希望や喜びを見つけて生きている。その人生の輝きを描いたヒロイン像に共感できたんだと思う」。
 ドラマは茂のスランプや親娘関係の変化が描かれ、最終週(9月20~25日)へ。8月下旬までの平均視聴率は18%を超え、全話平均が13%台に終わった前作や前々作を上回るのはほぼ確実。さて、どこまで伸びるか―。

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2010年8月31日のニュース