リア つかさんの遺志伝える…原爆題材舞台出演

[ 2010年8月5日 06:00 ]

激しいアクションシーンを演じようと稽古に励むリア・ディゾン

 6日に広島への原爆投下から65年を迎える中、米国出身の歌手リア・ディゾン(23)が同日に開幕する舞台「広島に原爆を落とす日」(東京・渋谷シアターコクーン)に出演する。先月、肺がんで死去したつかこうへいさん(享年62)が広島の悲劇を後世に伝えるため残した作品。世界で唯一の核兵器加害国出身者のリアが、つかさんの遺志を体当たりの演技で受け継ぐ。

 08年に日本人スタイリスト(31)と結婚し、昨年4月には長女美蘭(みら)ちゃんを出産したリア。
 広島の悲劇は、米ラスベガスで過ごした小学5年生のころ、授業で討論して以来深い関心を持つ問題。出演にあたって「どちらの国の言いたいことも私は理解できる」と悩み、6月には広島の平和記念公園原爆資料館を訪れ、つめ跡にあらためて向き合った。
 稽古では本格的なアクションに初挑戦。被爆2世で、つか作品を多く手掛けてきた演出家の岡村俊一氏(48)が「女優として開眼した」と絶賛。ダンスで鍛えた肉体で激しいキックを連発している。
 作品は79年初演。「唯一の被爆国として原爆の恐怖を語り継ぐべき」という思いが込められた名作。リアは原爆投下から65年後の現代で、戦時中に交わされた日米間の密約の秘密を守ろうとする米諜(ちょう)報員を演じる。
 「1歳の娘には難しい話ですが、この舞台を映像に残していつか原爆のことを教えるときに見せたい」と明かし、平和への思いを語る時には母親の顔になった。
 つかさんが亡くなった日はくしくも全出演者とスタッフによる顔合わせの日。北区つかこうへい劇団の団員も参加しており、回復を信じて稽古に励む教え子たちの姿を見て「つかさんから託された作品を立派に演じようという熱い思いに私も応えたい」と力が入っている。共演は筧利夫(47)、山口紗弥加(30)ら。6日から22日まで。

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2010年8月5日のニュース