押尾容疑者 複数知人の「早く救急車を」無視

[ 2009年12月9日 06:00 ]

押尾容疑者の移送先の湾岸警察署には朝早くから多くの報道陣が集まった

 麻薬取締法違反(譲渡)の疑いで7日に逮捕された元俳優の押尾学容疑者(31)が、一緒にマンションの部屋にいて死亡した女性の容体が急変した際、電話などで連絡を取った複数の知人から「早く救急車を呼べ」と忠告されていたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。119番通報は急変から3時間後に知人からあり、押尾容疑者は忠告を聞かなかった可能性がある。また、同法違反容疑で逮捕された泉田勇介容疑者(31)と交わした携帯電話のメールの中には薬物譲渡をうかがわせる内容があった。

 死亡した飲食店従業員田中香織さん=当時(30)=は8月2日、東京・六本木ヒルズのマンションの部屋で押尾容疑者とMDMAを飲み、同日午後6時半頃に容体が急変。この時、押尾容疑者は119番ではなく、知人らに連絡。捜査1課によると、「早く救急車を呼べ」と忠告されていた。
 結局、後に駆けつけた元マネジャー遠藤亮平容疑者(28)=証拠隠滅容疑で逮捕=らが通報したのは同9時19分。同27分に救急隊が到着した時、田中さんは既に死亡していた。
 捜査1課は、押尾容疑者がすぐに通報しなかった点を重視。救命措置としての行動が適切だったのかどうか保護責任者遺棄容疑での立件に向け、詳しい経緯などを調べている。
 押尾容疑者は10月10日、TBSの直撃取材に「おれは救急車を呼ぶように別のヤツに頼んだ。そいつがちゃんとやっていなかった」と弁明していた。
 捜査1課はこの日午後、東京都多摩市の押尾容疑者の実家を家宅捜索。押尾容疑者にMDMAを渡した疑いで逮捕された衣料品販売業泉田容疑者の江東区の自宅、遠藤容疑者の杉並区の自宅も捜索した。
 一方、押尾容疑者が泉田容疑者と交わしたメールの中に薬物譲渡をうかがわせる内容があり、泉田容疑者からMDMAを受け取ったのは事件2日前の7月31日とみられるという。同日、事件現場となったマンションに2人で入っていく姿が防犯カメラに写っていた。捜査1課はさらに押収資料を分析、裏付けを急ぐ。
 押尾容疑者は8日未明、警視庁麻布署から東京湾岸署に移送された。雑談には応じるが、依然、容疑を否認している。泉田容疑者は三田署、遠藤容疑者は原宿署に移送され、本格的な取り調べが始まった。

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2009年12月9日のニュース