押尾被告 執行猶予最長の5年“実刑手前”

[ 2009年11月3日 06:00 ]

押尾学被告を乗せたと思われる車が東京地裁に入る

 東京・六本木のマンションで合成麻薬MDMAを使用したとして麻薬取締法違反罪に問われた押尾学被告(31)に対し、東京地裁は2日、懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。執行猶予期間としては最長で、実刑の一歩手前。裁判官は「被告人の説明内容は不自然」「相当長期間にわたって(再犯の可能性を)見守る必要がある」などと厳しく指摘した。

 押尾被告は初公判の時と同じ黒いスーツに白いワイシャツ姿で出廷。左腕の数珠は1つ増えて2つ巻いていた。
 証言台に立ち、有罪判決を言い渡されると「はい」と小さな声でうなずいた。初犯であることから執行猶予付きの判決が予想されてはいたが、最長の5年。証言台から被告席に戻った後は終始、伏し目がちに判決理由を聞き入った。
 井口修裁判官は公訴事実を認定。法廷での押尾被告の証言に「説明内容が不自然」「信用しがたい」と疑問を呈し「相当長期間にわたって再び違法薬物に手を出さないかどうかを見守る必要がある」と指摘した。一緒にMDMAを使用して死亡した飲食店従業員の田中香織さん(30)に押尾被告は犯行当日、「来たらすぐいる?」というメールを送信。「自分がいるかという意味で、薬がいるかという意味ではない」などと性行為を示唆するものだと強調し、「こじつけ」とする検察側と争っていた。
 判決について、日本大学名誉教授の板倉宏氏は「法定上限の執行猶予が適用されたように、押尾被告は裁判官に全く信用されてない。裁判官は押尾被告が自らMDMAを入手し、常習性もあるとみているのだろう」と説明。「ただ、麻薬取締法違反の初犯で実刑判決は前例がないため、裁判所としても“慣例”を破ることができなかったのでは」とみている。
 午前11時に開廷した裁判は、被告人に判決の重みや今後への期待などを語りかける「説諭」も行わないまま、わずか4分で閉廷。弁護人や検察官が続々と立ち上がると、押尾被告もつられるように立ち上がったが、弁護人から知らされるまで閉廷したことには気付かず、慌てて裁判官に頭を下げた。この間、発した言葉は「はい」を3度だけだった。

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2009年11月3日のニュース