押尾被告 再び起訴へ“第三者への電話”注視

[ 2009年11月3日 06:00 ]

判決公判のため実家マンションを出る押尾学被告

 MDMAを一緒に服用したとされる田中香織さんが死亡した経緯をめぐり、警視庁捜査1課は2日までに、押尾被告を保護責任者遺棄容疑で立件する方針を固めた。現場にいた押尾被告や関係者から聴取を続けている。また、異変が起きてから田中さんの呼吸が停止するまでの“空白の35分間”に押尾被告が第三者に電話していたことも新たに分かった。

 捜査1課は、田中さん死亡までの経緯と押尾被告の行動に因果関係があったかどうか、詰めの捜査を進めている。
 関係者によると、田中さんは8月2日午後2時半ごろ、押尾被告がいた六本木ヒルズのマンション一室を訪れ、2人でMDMAを服用。午後6時ごろから体調不良を訴え、同6時15分ごろから手足をけいれんさせて口から泡を吹き始めた。呼吸が停止したのは同6時50分ごろとされ、容体が急変してから約35分間は生存していたとみられている。
 元マネジャーや友人らに押尾被告が次々と電話し始めるのは、呼吸停止後の同7時以降。捜査関係者によると約10人に電話しており、このうち4人が現場に駆けつけた。元マネジャーの到着が最初で同7時40分ごろだという。
 捜査1課は、押尾被告の携帯電話の通話履歴を基に周辺の事情聴取を重ねた。その結果、“空白の35分”の間に第三者に電話していたことが判明。押尾被告は心臓マッサージなどの蘇生(そせい)措置を取っていたとしているが、これより前に119番に通報できるタイミングがあったにもかかわらず、第三者に電話していたことを同課は重視。その通話内容と女性の解剖結果も踏まえ、保護責任者遺棄容疑の適用は可能とみている。
 当初は押尾被告が救急車を呼ぶなどの適切な救命措置を怠ったことが田中さんの死につながったとみて、保護責任者遺棄致死容疑の適用を検討した。しかし、早い段階で救急治療を受けていたとしても、高い確率で救命できたかどうかを立証するのは難しく、同致死容疑での立件は困難との判断に傾いている。
 前東京地検公安部長の若狭勝弁護士はこれまでの捜査の流れから、遺棄容疑での立件は「50%の可能性」、遺棄致死容疑は「10%以下」と推察。“空白の35分”の間の通話について「その内容は重要で、もし押尾被告が“放っておこうか、様子を見ようか”などと言っていた場合は女性の生死を左右した証拠になり得る」と指摘している。

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2009年11月3日のニュース