東京六大学史上初の完全試合達成投手 渡辺泰輔さん死去 慶大から南海に進みプロでも54勝

[ 2023年12月22日 05:00 ]

64年、東京六大学史上初の完全試合を達成した渡辺泰輔さん(中央)
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 慶大で東京六大学野球リーグ初の完全試合を達成し、南海(現ソフトバンク)でも活躍した渡辺泰輔(わたなべ・たいすけ)さんが20日午前3時53分、敗血症性ショックのため福岡県飯塚市の病院で死去した。81歳。福岡県出身。葬儀・告別式は21日に近親者で執り行った。今夏の甲子園で107年ぶりの優勝を飾った慶応(神奈川)OBで60年選抜で8強入りし、慶大では通算29勝。パームボールを駆使して南海で54勝を挙げた右腕だった。

 プロ、アマ球界の伝説的投手がこの世を去った。慶大時代の64年5月17日、テレビ中継も行われた立大戦で東京六大学リーグ初の完全試合を達成。前日からの連投で後に巨人のV9戦士となる土井正三ら好打者を封じ、1―0での快挙だった。

 慶大では元巨人で09年から13年まで母校の監督を務めた江藤省三氏の1学年先輩。大学で習得したパームボールを武器に3度のリーグ戦優勝に貢献し、29勝を挙げた。65年に南海に当時のプロ野球最高額とされた契約金5000万円で入団。この金額が契約金抑制などを目的としたドラフト制度導入を決定づけ、同年11月の第1回ドラフト会議開催につながったとされている。南海では2年目に16勝を挙げ2勝4敗で敗れた巨人との日本シリーズでは初戦から3戦連続を含む4試合で先発。敢闘賞に選ばれるなど孤軍奮闘の活躍を見せた。67年にも15勝を挙げ球宴初出場。だが72年の現役引退までプロでは実働8年で通算54勝だった。

 00年10月22日、立大・上重聡(現日本テレビアナウンサー)が東大戦で完全試合を達成。東京六大学リーグでは自身以来36年ぶりの快挙に「自分のときは7回くらいから意識して、最後の打者は空振り三振だった。自分のことのようにうれしい。年がたつほど記録の大きさを感じるものです」と話していた。10年春には当時の慶大・江藤監督が臨時コーチとして招へい。75歳だった18年2月には宮崎で行われた巨人―ホークスOB戦に駆けつけベンチ入りした。プロアマ球界に大きな足跡を残した偉大な投手が、天国に旅立った。

 渡辺 泰輔(わたなべ・たいすけ)1942年(昭17)7月13日生まれ、福岡県直方市出身。神奈川・慶応のエースとして3年だった60年選抜で8強。夏は神奈川大会決勝で法政二の柴田勲と投げ合い敗戦。法政二が夏の甲子園を制した。慶大では3度の優勝に貢献し通算29勝9敗、防御率1.33。65年に南海入り。2年目に16勝を挙げてリーグ優勝に貢献。67年にも15勝を挙げ球宴出場。72年に現役引退。プロ8年で通算221試合に登板し、54勝58敗、防御率3.35。

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