松坂大輔氏が見た後輩・千賀の“強み” 前向きな考え方が米球界にフィット

[ 2023年9月29日 02:30 ]

ナ・リーグ   メッツ2―4マーリンズ ( 2023年9月27日    ニューヨーク )

今年3月、春季キャンプで取材した松坂大輔氏(左)とメッツ・千賀(松坂大輔氏のインスタグラムから)

 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】スポニチ本紙評論家の松坂大輔氏(43)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」9月編。松坂氏はかつて自身も所属したメッツの後輩である千賀の活躍ぶりに称賛の拍手を送った。規定投球回に到達し、日本投手では松坂氏も含めて史上4人目となるメジャー1年目での200奪三振を達成。米球界にフィットした理由などを分析した。

 千賀投手は素晴らしい一年を過ごしたと思います。もちろん大きな戦力として期待されてメッツに入団しましたが、先発陣にはシャーザー、バーランダーという2本柱がいました。しかしチームが低迷して7月末に2人を放出。千賀投手は周りを見て己の立ち位置が分かったはずです。

 今やエース格。自分がやらなければ、との思いも力になったはず。8月以降に5勝。自分はレッドソックス1年目の07年、32試合に投げましたが後半はバテてしまい、8月以降は3勝4敗でした。千賀投手は、シーズン終盤でも勝ち星を伸ばしているところも評価される点だと思います。

 「お化けフォーク」の威力は大リーグでも絶大でした。あそこまで落差のあるボールを投げる投手は、米球界でもなかなかいません。広い北米大陸。湿度など気候の面で対応が難しい日もあったと思います。ボールも滑るとされますが、大リーグでは去年から滑り止めのロジンが新しくなりました。粘り気など日本のものに近く、それも好影響になったのではないでしょうか。

 何より「いいな」と思ったのはマウンド上でのたたずまい。ピンチの場面や、仮に打たれても「まだまだ大丈夫」という雰囲気をまとっていました。本人の中にある前向きな思いが、支えになっていたのでしょう。春季キャンプで取材をさせてもらいましたが、千賀投手のコメント、話はネガティブに聞こえないんです。全て前向きに捉え、異国の地で野球をやることの難しさに対して神経質になっていませんでした。新たな経験、勉強をしているんだという姿勢。そんな考え方がフィットしたのだと思います。

 自分もレ軍での1年目は、何事も勉強だと思って日々を過ごしていました。文化の違いに戸惑い、野球より私生活の方がストレスが多かったです。千賀投手も生活環境など不安なことはいろいろとあったでしょうが、全てをアジャストさせて結果を出したシーズンになりました。

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