「世界の盗塁王」の足を「無手勝流」で止めた名投手 佐藤道郎氏「何でやって、聞き返したら…」

[ 2023年8月3日 20:03 ]

佐藤道郎氏(2005年撮影)

 南海、大洋(DeNA)で通算88勝39セーブを挙げ、最優秀防御率にも2度輝いた佐藤道郎氏(76)が3日までに更新されたYouTube「プロ野球OBクラブチャンネル」にゲスト出演。「世界の盗塁王」福本豊氏との「勝負」にまつわる興味深いエピソードを明かした。

 佐藤氏は1969年(昭44)のドラフト1位で南海に入団。1年目から当時は珍しかった救援専門投手として18勝をマークすると、野村克也監督(2020年死去)が率いるチームで長く主戦として活躍した。

 当時のパ・リーグは阪急と南海の「2強」。南海投手陣にとっては、「1番・福本」の足を封じることが最重要課題といえた。ただ、佐藤氏は数少ない「例外」だったようだ。同学年の2人は、1年目のオフ、大阪・北新地の歓楽街で偶然、顔を合わせた。そのまま一緒に飲食店へ。そこで佐藤氏は思わぬ「告白」を聞くことになる。

 「福本がね、“お前、嫌なんだよ”っていうから、“何でや”って聞き返したら、けん制しないからって」

 福本氏といえば、NPB歴代最多の1065盗塁を誇るスペシャリスト。「(福本によると)けん制するとね、もうちょっと(塁を)出れるかな、とか、いけるかなって測れるんやってね。(佐藤)道はけん制しないから、じっとしとくしかないんだ。お前は走りづらかったって、言ってくれたけどね」

 福本氏がシーズン最多記録の106盗塁をマークした1972年(昭47)、154イニングを投げた佐藤氏に対し、2度企図し、1度しか成功していない。まさに「無手勝流」の勝利だった。

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