鈴木啓示氏 6回絶好機での阪神・佐藤輝の三振で悪い流れに 苦しい時こそ成長できる

[ 2023年7月9日 07:00 ]

セ・リーグ   阪神2ー3ヤクルト ( 2023年7月8日    甲子園 )

スポニチ評論家の鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】阪神・佐藤輝の打席が勝敗の分岐点になった。6回に大山の左二塁打で同点に追いつき、なおも無死二、三塁。勝ち越すには最高の舞台だった。甲子園も一番の盛り上がりを見せていた。投げる外国人投手のピーターズがプレッシャーを感じていたはずだ。

 なのに、タイミングが合わない。1球目にボールの後、3球連続でファウル。だが、粘ったとも言えない内容だった。左方向に力なく上がった2本と、一塁線へのゴロが1本。タイミングが合ったファウルは、それだけで相手投手に鳥肌を立たせるほどの圧力がかかるのだが、タイミングが合わないファウルの繰り返しなら、カウントを苦しくするだけ。最後はボールになる変化球に体勢を崩されて空振り三振に倒れた。

 無死二、三塁で内野は前進守備。バットに当てさえすれば、高い確率で勝ち越せた。だが空振り三振では何も起きない。次のミエセスの中飛併殺も佐藤輝の凡退で流れが変わったためと見えた。
 岡田監督が佐藤輝を2軍に落とした。彼の能力に期待すればこその2軍行きだったはず。何のための2軍だったのか。2軍で何を学んできたのか。その答えを久しぶりの甲子園で見せてくれることを期待したのだが、残念ながら成長は感じなかった。

 佐藤輝も当然何とかしようともがいているはず。しんどい思いもしているだろう。でも苦しいときだからこそ、成長もできる。4万を超えるファンから「輝」「輝」と声援を送られることを幸せだと感じて、レベルアップしてほしい。(本紙評論家)

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