広島338日ぶり単独首位 田中広輔「ここで打たなきゃ男じゃない」6回同点満弾 マツダ7連勝

[ 2023年4月17日 05:05 ]

セ・リーグ   広島7―5ヤクルト ( 2023年4月16日    マツダ )

<広・ヤ>6回、田中は満塁本塁打を放ちガッツポーズで一塁を回る (撮影・奥 調)
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 広島は16日、5点差を逆転してヤクルトを7―5で下し、今季2度目の同一カード3連勝を飾った。4点劣勢の6回に田中広輔内野手(33)の2号右越え満塁弾で追い付くと、7回には代打・小園海斗内野手(22)の右中間三塁打を起点に勝ち越しだ。定位置を争う新旧遊撃手がバットで貢献し、開幕3連敗を喫したツバメに鮮やかなリベンジ。昨年5月13日以来、338日ぶりに単独首位に浮上した。

 雨が上がり、青空が戻った本拠地に快音が響き渡ると、スタンドは大歓声に包まれた。田中が起死回生の2号満塁弾。駆け出すと同時に右手を突き上げ、何度も右手拳を握りしめる。秋山、マクブルームと並んだお立ち台で声を弾ませた。

 「前の打者が何とかつないでくれて、坂倉も粘って四球をもぎ取ってくれた。ここで打たなきゃ男じゃない。思い切っていった」

 4点を追う6回2死満塁。代わったばかりの星が1ボールから投じた内角直球を振り抜くと、放物線を描いた打球は右翼席に着弾した。19年6月5日の西武戦以来で、通算4本目のグランドスラム。誇り高きリーグ3連覇戦士の底力だった。

 「精神面が大事なんだ…と今年は凄く感じる。強くなった気がしていたけど、心技体でまだまだだった…と思い知らされている」

 気付きは人を成長させる。不動のリードオフマンとして輝いた16~18年。その輝きは徐々に失われ、昨季は6月から2軍暮らしを強いられた。昇格を目指し、若手と一緒に汗を流す中で感じたことがある。「僕は甘かったなって」。視界はその時、再び開けた。

 負けてはいられない…とばかりに若ゴイも奮起する。同点の7回1死で代打に立った小園。3番手・石山の外角直球を捉えると、打球は右中間を深々と割った。17打席目に飛び出した今季初安打が貴重な三塁打。秋山の敬遠を挟み、マクブルームの中犠飛で勝ち越しのホームを踏んだ。

 「つらいけど、実力なんで。大事な場面だったので、逆転できてよかった」

 神宮で開幕3連敗を喫したヤクルトに、本拠地で意趣返しの3連勝。阪神が敗れ、昨年5月13日以来338日ぶりの単独首位に立った。「そうなんですか? いま何試合目? 一戦一戦やるだけ」。そう笑い飛ばした新井監督は、新旧遊撃手の競演を手放しで喜ぶ。

 「広輔はオープン戦から内容がよかった。ずっと競争と言っているので、いい状態の選手は使ってあげたい。それで小園がまた“やるゾ”と思ってくれればチーム内のいい競争になる。三塁打は僕もうれしかった」

 答えが出たと思われた定位置争いは、33歳の奮起で再び熱を帯びてきた。激化するチーム内競争。首位浮上のチームには望ましい。(江尾 卓也)

 ○…広島が3連勝で今季初の首位浮上。単独首位は昨季5月13日以来、338日ぶり。開幕4連敗で出遅れたが、5戦目の初勝利以降は8勝1敗の勝率・889のV字回復だ。本拠地のマツダでは、初戦の4月4日阪神戦黒星のあと、7連勝。マツダの7連勝は19年7月19日から8月2日にかけての7連勝以来4年ぶり。同球場の最多連勝は16年8月11日から9月16日にかけての12連勝。

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