日本ハム・上沢 約1カ月ぶり5勝目 理論的エースが「一球一球、魂込めて気合で何とかした」

[ 2022年7月2日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム2―1オリックス ( 2022年7月1日    札幌D )

<日・オ>4回2死満塁、宗を見逃し三振に仕留め雄叫びをあげる上沢(撮影・高橋茂夫)
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 魂の力投だ。日本ハムの上沢直之投手(28)が先発し、6回2/3を1失点の粘投。8安打を浴びて今季最多の6四死球を与えながらも、要所で踏ん張り今季5勝目をマークした。5月は4戦全勝だったが6月は4戦0勝1敗で、白星は約1カ月ぶり。対オリックス戦の自身の連勝を10に伸ばし、チームの連敗を2でストップした。

 どんなに調子が悪かろうと、試合をつくるのがエースの責任。若いチームに背中で伝えようと、上沢が踏ん張った。走者をためながらも1失点。恒例となった勝利時の円陣では、中心に立ってナインにこう語りかけた。

 「今日、僕は全然ダメでしたけど一球一球、魂を込めて気合で何とかしたので。明日から試合は続きますが、皆さんも強い気持ちを持って気合で頑張っていきましょう」

 初回から何かが違った。先頭の福田にいきなり四球。続く宗は併殺に仕留めるも、中川圭には死球を与えた。「ブルペンでは良い方だなと思っていたが、試合になると変わった感じがあった」。この回は無失点で切り抜けたが、以降も毎回走者を背負う苦しい展開が続いた。

 しかし、諦めた姿を見せるわけにはいかなかった。この日は昨オフに自主トレを行った愛弟子の田中が、育成から支配下選手への再登録を勝ち取った。上沢の元へ真っ先に連絡があったといい「本当にうれしかった。苦しんでいた中でファームで成績を残し、見違える球を投げていた」。この日、最大のピンチとなった4回2死満塁では宗を見逃し三振。苦しい時にどう切り抜けるか、先輩としてマウンドで示した。

 先月17日のロッテ戦は7回無失点も8回に石川直が2失点、9回には新人・北山が5失点と崩れて勝利を逃した。先発にとって最も悔しい負け方だが、ベンチで2人に声をかける上沢の姿があった。「手術明け(の石川直)とルーキー(の北山)が8、9回に投げているんだから。“おまえら、よくやっているよ”という話はした」

 この日は2点リードの7回に1点を許し、2死二、三塁の場面で降板。このピンチを堀が脱し、8回は北山、9回は石川直の継投で1点差を逃げ切った。「僕の試合で(石川)直とか、北山は苦しい思いをした。ああいう日もあれば抑える日もある。一喜一憂しないで投げてほしい」と上沢は言う。

 理論的なエースは根性論が苦手だが「気のない人間は何かを起こすきっかけにもたどり着けない」。この日だけは「最後は気合」を貫き通した。(清藤 駿太)

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