広島・大瀬良 カープ愛を貫き残留 運命のドラフトから8年「ご縁に背を向けることはできない」

[ 2021年11月19日 05:30 ]

<2013年、広島ドラフト指名あいさつ>野村謙二郎監督(左)、田村恵スカウト(右)と交渉権確定の用紙を手にする1位指名の九州共立大・大瀬良大地投手
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 広島の大瀬良大地投手(30)は18日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せず、来季以降もチームに残留すると表明した。マツダスタジアム内で会見し、残留の決め手に、球団への強い愛着を挙げた。今後は、球団の伝統を継承し、チームの先頭に立ってV奪回へと導く覚悟を示した。

 決断理由は、大瀬良の実直な性格をよく表していた。ユニホーム姿で臨んだ残留会見。チームへの愛着や感謝を何度も繰り返した。

 「ドラフトで(担当スカウトの田村)恵さんが交渉権確定のくじを引いてくれた。そこからたくさんの出会いに恵まれて、いままでやってこられた。そういうご縁に背を向けることはできないという思いが(残留の)理由の一つになりました」

 13年のドラフト会議で3球団競合の末に広島が交渉権を獲得。高校時代から追いかけ続けた田村恵スカウトが当たりクジを引いてから8年がたち、FA戦線の目玉に挙げられるまでに成長した。球団からは3年契約で総額約8億円(推定)とみられる好条件を提示され「背番号14をつけて40歳までやってほしい」とまで伝えられた。「納得できるものをいただいた」と最大限の誠意を感じ、FA申請期間の開始日を待つことなく17日に球団に残留を伝えた。

 「頑張ってつかんだ権利なので悩むこともあったけど、考えれば考えるほどカープに対する愛着がどんどん強くなっていった」

 入団後から前田健太、黒田博樹らエースの姿を追ってきた。今季から投手主将を務めるなど、いまは偉大な先輩が築いた伝統を引き継ぐ立場へと変わった。「黒田さん、新井さん、石原さん、マエケンさんらと一緒に野球をさせてもらえたのは貴重な時間だった。移籍してしまうと、カープの子には伝えられなくなる。カープで学んだことは、カープでつないでいきたいという思いが強かった」。名前を挙げた先輩全員がチームを去った。愛するカープが再び頂点に立つには、自らを中心に新たな時代をつくらなければならない。

 「3連覇したときの状況を知っている。そういったものを若い選手につないでいきながら、新しい強いカープをつくっていければいいなと思います」

 新たな黄金期へ、大瀬良の残留が何よりも大きな一歩となるはずだ。(河合 洋介)

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