日本ハム・西川、大田、秋吉のノンテンダーFAとは なぜFA補償を捨てたのか チーム事情も絡んだ判断 

[ 2021年11月16日 16:05 ]

日本ハムの(左から)西川遥輝選手、秋吉亮選手、大田泰示選手
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 日本ハムの「ビッグボス」こと新庄剛志新監督が指揮を執る来季に向けて、次々に改革が進められている。16日に海外FA権を持つ西川遥輝外野手、国内FA権を持つ秋吉亮投手、大田泰示外野手の3選手に対し、来季契約を提示せず、野球協約第66条の保留手続きを行わないことになったと発表した。

 稲葉篤紀GMは「3選手と来季以降のプレー環境について協議した結果、選手が取得した権利を尊重し、ノンテンダーとすることを選択しました。選手にとって制約のない状態で、海外を含めた移籍先を選択できることが重要と考えた結果です。昨年も、ノンテンダーの村田透投手と再契約した例があるように、ファイターズとの再契約の可能性を閉ざすものではありません」と球団を通じてコメントした。

 球団が来季の保有権を放棄するノンテンダーFAは、メジャーでは成績に比べて年俸が割高である選手に対して球団がノンテンダー(テンダーは提出、申請の意)とすることがある。村田は昨オフ、一度自由契約となりながら野球協約が定める減額制限(1億円以下は25%)を超えた2400万円減の1600万円プラス出来高払いで再契約した。

 西川、大田、秋吉の3選手は実績十分で、西川は今季年俸2億4000万円、大田は年俸1億3000万円、秋吉は年俸5000万円だ。しかし、西川は今季130試合で盗塁王(24盗塁)こそ獲得したが、打率・233、3本塁打、35打点。大田は日本ハム移籍後初めて100試合出場に届かず、76試合で打率・204、3本塁打、20打点。秋吉もプロ入り後ワーストの10試合登板で0勝0敗0S、防御率2・70といずれも不本意なシーズンを過ごした。

 日本ハムは3選手がFA移籍すれば人的補償や金銭補償を受け取ることができた。3選手を交換要員としてトレードに動くこともできたはずだ。しかし、今年の成績で仮にFA権を行使しても西川は年俸上位3位までのAランク、大田と秋吉は同4~10位までのBランクとみられ、人的補償と金銭補償が移籍交渉の足かせとなる可能性があった。そのため稲葉GMは「選手にとって制約のない状態で、海外を含めた移籍先を選択できることが重要と考えた結果」と実績がある功労者の3選手に配慮し、補償を必要としないノンテンダーFAを選択したとみられる。

 外野手は浅間、五十幡、万波ら若手が台頭。名外野手だった新庄BB就任により、世代交代を進めていく狙いもありそうだ。
(日本ハム担当・東尾 洋樹)

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2021年11月16日のニュース