阪神・矢野監督 激痛1敗で首位ヤクルトと2差 それでも逆転Vへ「やってきた野球を思いっ切りぶつける」

[ 2021年10月8日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3ー4DeNA ( 2021年10月7日    横浜 )

<D・神(25)>8回、ピンチを迎えた阪神・及川(中央)に声をかける矢野監督(左から2人目)(撮影・島崎 忠彦)
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 阪神は7日のDeNA戦に3―4で敗れ、激痛の逆転負けを喫した。1点優勢の8回1死二塁から、及川雅貴投手(20)がソトに逆転2ランを被弾。首位・ヤクルトがサヨナラ勝ちしたため、ゲーム差は2に広がった。きょう8日からの直接対決を見据え、岩崎を温存した継投が裏目に。3連勝しない限り、ヤクルトのマジック点灯を許す土俵際に追い込まれた。

 打球の行方を追った近本の足はわずか2、3歩で完全に止まった。その直後、バックススクリーンを直撃した痛烈な打球音が横浜スタジアムに響き渡った。1点優勢の8回1死二塁。3番手の及川がソトに痛恨の逆転2ランを浴びた。

 「思い切って行けと。ここまでアイツがね。成長してきたのも1年見てきたし」

 矢野監督の思いは届かなかった。先発の伊藤将が5回で降板。6回からはアルカンタラが2イニングを封じ、勝利のバトンをつないでいた。8回は2年目の左腕を迷わず投入。1死二塁となったところで、三塁ベンチを飛び出した。「ここで投げさせていいって思って俺は、お前を使っているから」。マウンドへ駆け寄ったのは、7月3日広島戦に次いで就任以来2度目。自らの言葉で鼓舞したが、最悪の結末が待っていた。

 「俺の中では思い切って勝負に行けというところの結果なんで。それは踏まえている。打たれることもある」

 指揮官は悔しさを押し殺すように振り返った。8回を岩崎、9回をスアレスで逃げ切るのが必勝パターン。それでも、岩崎を温存した背景には、ともに3試合連続で登板中という事実があった。その一方で、及川は9月21日の中日戦から7試合連続無失点。ホールド機会の8回を託すのは初めてでも、確かな信頼と根拠があった。きょう8日からは、首位・ヤクルトとの3連戦。3連勝を狙うためには、少しでも岩崎、スアレスの負担を軽減させたかった。

 「もちろん1個の勝ちが大きいし、1個の負けも大きい。それは俺も選手も重々わかっていること。俺らが今までやってきた野球を思いっ切りぶつけるということしかできないんでね。みんなの思い、本当に必死な思いというのはベンチでも重々分かっている」

 首位・ヤクルトがサヨナラ勝ちしたため、ゲーム差は2に広がった。直接対決で3連勝しない限りはマジック点灯を許す窮地に追い込まれたが、矢野監督は前を向いた。「直接対決でしか、上に行くチャンスというのは現状少なくなってきている。あした、しっかり取れるようにやっていきます」。直接対決は5試合残されている。諦念の2文字を浮かべるのは、まだ早い。(山本 浩之)

《背水の神宮決戦負け即自力V消滅》 ○…2位阪神が負け、首位ヤクルトが勝ったため、両チームの差は2ゲームに広がった。阪神はきょう、ヤクルトとの直接対決に負けか引き分けで自力優勝の可能性が消滅。ヤクルトに優勝へのマジック「11」(=阪神●の場合)か「12」(=△の場合)が点灯する。阪神がマジック点灯を阻止するにはヤクルトに勝ち続けるしかないが、この3連戦に全勝でも阪神の勝率は・58400、ヤクルトは・58407で順位の入れ替わりはない。

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