ロハスJrはNPB史上最高の両打ち助っ人になれる 広澤克実氏が阪神の新助っ人に太鼓判

[ 2021年1月13日 06:30 ]

右でも左でも一級品の打撃を見せる阪神・ロハスJr
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 虎党のみなさん、安心してください――。本紙評論家の広澤克実氏が、活躍を期待される阪神の新外国人、メル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国・KT)の映像を分析し、NPB史上最高のスイッチヒッターになる可能性を秘めているとした。左右両打席とも欠点がなく、同じ韓国プロ野球で活躍して入団したウィリン・ロサリオ内野手とは違うと断言した。

 映像で見る限り、ロハスは史上最高、最強の助っ人になる可能性があると感じた。基本的に、いい場面ばかりが編集されており、その中で球種やコースにどう対応したかをチェックしたが、欠点のない打者と言える。内外角に、速球、変化球ともに対応できている。しかも右打席でも左打席でもしっかりコンタクトしている。パワーも十分で、敵には絶対にしたくない選手だ。

 外国人選手が日本で苦しむのは内角攻め。メジャーのストライクゾーンは外に広く、内は厳しい。だからこそ、日本のバッテリーは内を攻めて意識させ、最後は外で打ち取る――。それが鉄則だが、ロハスは内角を苦にしていない。むしろ強い。トップからボールを捉えるまでの間が非常にコンパクトで速い。体の回転軸が投手方向に流れることがないから、内角をしっかり叩ける。これが強みだ。

 しかもスイッチヒッターで、昨季在籍したボーアのように左のワンポイントが効果を発揮することもない。両打ちというのは普通、右が弱く、打率を上げたいから足を生かす左にも取り組むパターンが多いが、ロハスは左右の差が少ない。私の中では、これまで最高の両打ちは西武の黄金時代に活躍したデストラーデだったが、メジャーも含め現時点では最高のスイッチヒッターではないかと思う。

 韓国経由で誤算だった阪神の外国人にロサリオ(18年に在籍し打率・242、8本塁打、40打点)がいた。2年連続3割30本塁打100打点以上で鳴り物入りで入団。当時も映像でチェックしたが、外のスライダーを引きつけて打ったシーンはなかった。だが、ロハスは外角の変化球にも対応していた。右でも左でも、外角へのチェンジアップや外から入ってくるカーブを見事に逆方向に打ち返していた。甲子園の浜風への対応も必要になるが、バースのように反対方向にも本塁打できる。楽しみな選手だ。

 ポイントはヒッティングゾーンが広いからボール球に手を出す傾向があることだろう。三振が多いのもそのためだと推測する。ただ、周囲が「ボールに手を出すな」と言えば逆効果になる。本来のスイングができなくなりパフォーマンスも落ちる。彼のようなタイプは細かい指示より「これだけやってほしい」とトータルでノルマを示した方がいい。そのあたりのティーチングを誤らなければ、結果を出せる選手とみた。

 ○…ロハスは韓国・KTでプレーした昨季、47本塁打と135打点で2冠王。シーズン打率.349に対し、対左投手.376、対右投手.340と左右であまり差がないのは好材料。何打数で1本の本塁打を打てるかを示す本塁打率は、左投手10.8、右投手12.0と、どちらの打席も本塁打が期待できる。

 【NPBで活躍した主な両打ち助っ人】
 ★デストラーデ(1989~92、95年=西武)キューバ出身で愛称は「カリブの怪人」。90年から3年連続本塁打王、91年から2年連続打点王でチームの黄金期を支えた。通算517試合、打率.262、160本塁打、389打点。
 ★ホージー(1997~98年=ヤクルト)来日当初は拙守が目立ち、打撃も期待されていなかったが、97年は38本塁打で、巨人・松井秀喜に1本差でタイトル。明るい性格も人気に。通算244試合、打率.267、51本塁打、142打点。
 ★セギノール(2002、10年オリックス、04~07年=日本ハム、08~09年=楽天)04年に44本塁打でタイトル。06年の日本一にも貢献。左右打席本塁打9度はプロ野球記録。通算767試合、打率.273、172本塁打、483打点。

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