東尾修氏 巨人からソフトバンクへ「盟主交代」 強さは黄金時代の西武に匹敵

[ 2020年11月26日 06:00 ]

SMBC日本シリーズ2020第4戦   ソフトバンク4―1巨人 ( 2020年11月25日    ペイペイD )

日本一を決め喜ぶソフトバンクナイン(撮影・中村 達也)
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 【東尾修氏 シリーズ大分析1】4年連続の日本一を成し遂げた工藤ソフトバンク。盟主・巨人をシリーズ史上初となる2年連続の4連勝で下し、スポニチ本紙評論家の東尾修氏(70)は「盟主交代」と位置付けた。その圧倒的な強さを1980年代から90年代前半にかけ、黄金時代と呼ばれた西武に匹敵すると断言。当時、現役で活躍した東尾氏は両球団のスカウティングや戦力構成の共通点も挙げ、巨人との力の違いを指摘した。

 球界の盟主の座は、巨人からソフトバンクへ――。そんな思いを強くした日本シリーズだった。力の差をまざまざと見せつけて2年連続4連勝。ここ10年で7度目の日本一だ。思い出すのは西武の黄金時代。82~92年の11年間で8度、日本一に輝いた。私も、ソフトバンクの工藤監督も当時、現役メンバーとして名を連ねていた。

 現在のソフトバンクの強さは、当時の西武に匹敵する。高いレベルで投打のバランスが取れ、チームとしての完成度が高い。西武は渡辺久信、郭泰源(カクタイゲン)ら150キロ超の球速を誇る、パワーで勝負できる先発陣が顔をそろえていた点も似ている。バラエティー豊かなリリーフ陣を含めると、投手力はソフトバンクの方が上かもしれない。打者では清原和博、秋山幸二、デストラーデら、パワー系の打者がズラリ。これも柳田を中心とした強力打線と重なる。

 組織としての強さもそうだ。ソフトバンクは千賀、石川、甲斐らが育成出身。球が速い、遠くに飛ばす…。そんな一芸選手を集めて、素材を磨く。片や当時の西武はスカウティングが光った。秋山はドラフト外で、伊東勤は練習生を経て入団。(工藤)公康はドラフト6位で獲得した。現場だけでない。チームが組織として一体となって強さを追求している。

 松本、杉山ら若い中継ぎ陣も含め、公康はいい投手を育てた。彼が第2戦に先発した90年の日本シリーズは巨人に4連勝。岡崎郁が「野球観が変わった」と言ったのは語り草だ。西武は当時の堤義明オーナーの号令で、「盟主・巨人に勝ってこそ本当の日本一」と心に誓って試合に臨んだ。ソフトバンクは力でその座を奪い取ったと言っていい。

 〇…西武は球団創設4年目で初優勝を飾った1982年から92年までの11年間で2度の3連覇と2連覇を成し遂げ、8度の日本一に輝いた。その間、巨人と日本シリーズで対戦したのは3度で全て勝利。特に90年は槙原寛己、斎藤雅樹、桑田真澄の3本柱を打ち崩し、4連勝で下した。

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