【これで聞き納め!球児会見(3)】「矢野さんは人生で一番尊敬する方。そこを人生の軸として生きてる」

[ 2020年11月11日 06:37 ]

阪神・藤川球児引退試合 ( 2020年11月10日    甲子園 )

【プロ野球阪神対巨人】藤川球児引退セレモニー ラストピッチングをし、阪神・矢野・ 大監督(手前)と抱き合う藤川球児=甲子園球場(代表撮影)
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 阪神・藤川球児投手(40)が10日の巨人戦で引退試合に臨み、慣れしたんだ“最終回”に登板した。今季最多2万1392人を集めた本拠地・甲子園球場で「火の玉」と称された全12球の直球勝負で2三振を奪うなど打者3人を抑え、22年間の現役最後のマウンドを終え、引退会見を行った。

 ――タイガースのユニホームを着てほしいというファンの方の声に応えてくれるか。
 「今はさっきも言った通り、そこに自分の人生の全てを捧げられるだけの、自分が今送りたい人生と比べた時にはそれは入ってこない。自分のところは子供が早かったので、気づけば19歳、17歳、13歳となってきたわけなんですけど。その間は妻が本当に頑張ってくれて、自分自身を野球に集中させてくれたという感情を考えると、やっぱり何を一番大事にしたいのか考えた時に、やっぱり最後の1ヶ月、こういう甲子園で家族の姿を見てもらった通り、自分にとってはそれが家族なんで。求められるようなことがきた時に、自分にその準備があるのかということだけなんで。まずはファンの方々も、僕が思うのは、タイガースのことも愛するでしょうし、だけれどもやっぱりみんなが自分一人一人の人生を楽しく送ろうとすることのうえで、タイガースに力をもらったり与えたり、っていうことになると思うんですよ。皆さんからそういう声をかけてもらった時にその時の自分がどうなっているかは今の所は想像できません」

 ――矢野監督とのラストピッチはどんな想いが込み上げたか。
 「矢野さんとは若い時から本当にずっと一緒にやってきて、僕が人生で一番尊敬する方なんですよね。そこを人生の軸として自分も今生きてるんですよ。なのでやっぱりプロ野球の監督ってものすごく大変だなという思いがあるんですけど。みんなの不平不満、辛い思いをすべて受け止めて黙って戦っていく、力強さというか、そういう精神力が必要だと思うんですよ。その中でどれだけの思いを持って矢野監督が選手たちがグラウンドに出てきてみんなをしっかり動かして、ということを考えると…。僕としては自分が一番尊敬する方ですから。ファンの皆さんにも本当に付いてきてほしいし、そう思ってもらって。自分が言うのもあれですけど、世界一尊敬できる方なので。その中で自分がやめようとしているわけですよね。だからそういう所って本当に自分が決断してやめたんで。なんとか矢野さんを日本一にして、というのが矢野さんが現役のときから思ってたんで。あと金本さんも。いろんなたくさんの人の思いがありますけども。でも涙を流さなくて良かったですね。(セレモニーで)矢野さんの時に自分がどう思うかなと。矢野監督と…。もう(自分が)やめたのでもう監督じゃなくていいのか(笑い)。もう友人に戻れるので。(セレモニーで)矢野さんと岡田さんに出てこられた時にどうなるんだろうなと自分は実は考えてたんですけど、やっぱりもう自分のユニホームを脱いでましたね、投げ終わって。それぐらい自分のスイッチの入れ方が上手になったのかもしれないですね。マウンドにいるここだけって絞れるようになった」

 ――最後の投球は多少手加減されて。
 「肩痛いんですよ(笑い)。1回切れてるし。でも、本当なら壊れてもいいから全力で投げればいいんですけど、やっぱり野球が好きなんでしょうね。全力で腕振らなかったというのは、どこかで振ることがあるかもしれないということで恐らくそうなったんだと思います」

 ――ファンに向けて。
 「自分の人生を通して、みなさんにどういう風に映るかっていうのは自分には計り知れないところになるんですけど。自分は自分の人生を紆余曲折ありながら、いろんなところで苦しいときもあったり、そこから頑張って立ち上がったところもあるんですけど。野球選手として最後こういう着地をできたんですけど、その姿を見てみんながどう感じるか。それと、やっぱり苦しいところから立ち上がろうとしてる、そこが一番みなさんが大事にしなければいけないところで。そのあと活躍した時とか復活した時って誰でも言えるんですよ。その時に人に寄り添える心を持ってるかどうかが、やっぱり自分は一番大事だと思うんですよ。なので僕が小学校の時に野球選手になりたいと。でも言えなかった。というところから、ここまで完結した。なので、その時どんな人が大切だったかと思えば、支えてくれる方々なんで。とにかく今苦しんでる選手とか、選手だけじゃないですね。世の中にそういう方はたくさんいらっしゃると思うんですよ。いつ自分がそうなるか分からないし。その時に支え合いができるような。みんなの心の余裕というか。当たるなら自分たちに当たってもらえばいいし。そういう風にそれを自分の力に変えて僕はまた立ち上がろうと思いますんで。みなさんの応援団になりたいなと、偉そうかもしれないですけど思います。大感謝。もう感謝、感謝です。もう本当に。みなさんのお陰で幸せな野球人生でした」

 ――生まれ変わっても野球やりますか。
 「今生まれ変わったところですからね。生まれた頃の自分に戻れたんですけどね。17歳、18歳か。の頃にやっと戻れたんで。今からはまだ、今からの人生を楽しませてもらいたいなと。野球はまだ辞めてないですからね、自分の中でまだ朝早く起きてやらせていただくので。みなさんとお会いすることがあれば、投げるか打つのかは分からないですけど、そういうつもりなんで。まあ覚悟が足りないと映る方もいらっしゃるかもしれないですけど、これが逆に自分の中では本当の覚悟なんで。ご理解いただけるとうれしいと本当に今は思ってます。後輩たちに温かい声援をお願いしたいし、みなさんの元気で火をつけてもらいたいなと思います。巨人の坂本くんが2000本打ったばっかりで。本当にしのぎを削ってやってきたんで、最後花を持たせてくれてね。対戦しながらもっと対戦したいなと。今日のボールなら対戦できるのにという思いもありながら、でもやっぱりそういうプロ野球の素晴らしさというのは目に見えないものの方が実は重要なので。スポーツというのは。そこの部分をみなさんにまた伝えていっていただけると非常にありがたく思います。お世話になりました。ありがとうございました」

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2020年11月11日のニュース