ヤクルト・奥川、ホロ苦5失点デビューも見せた可能性 指揮官期待の表れ“サプライズ”

[ 2020年11月11日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト3-7広島 ( 2020年11月10日    神宮 )

<ヤ・広24>最終戦セレモニーで奥川(手前右)を呼んであいさつさせる高津監督(撮影・村上 大輔)
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 思いもしない“ムチャ振り”だった。今季の最終戦を終えてのセレモニー。マイクの前に立つヤクルト・高津監督が、あいさつの中でこう切り出した。

 「来年に向けて有望な選手が今日、先発しました。奥川っ!」。そう言って呼ばれた。完全なるサプライズ。驚きの表情でマイクの前に立った奥川は「1年目の奥川です。今日の反省を生かして、来年活躍できるよう頑張りたいと思います」と声を上ずらせた。それだけ言うのがやっと。それでも、その言葉には力強さもにじんだ。

 その2時間半前、神宮のマウンドでプロの洗礼を浴びた。今季ラストゲームでのプロ初登板初先発。ドラフト1位右腕は「ファンの声援もあって、気持ち良く投げられた」というが、納得のいくボールは投げられなかった。初めての神宮のマウンドに戸惑い、ボールはシュート回転する。最速も148キロ。強気で投げ込んだ直球を次々にはじき返された。

 初回。初めて対した侍ジャパンの主砲、鈴木誠に全球ストレートで挑み、5球目の148キロを右中間二塁打される。そこから松山の左中間二塁打でプロ初失点すると3回も再び松山にプロ初被弾となる2ランを浴びた。この回途中で降板し「修正できず、早い回で降板は非常に悔しい」。2回0/3を57球、9安打5失点に唇をかんだ。

 ただ、ハートの強さと可能性は見せた。初回は1球目から8球連続で直球。全57球でも32球を数えた。「結果は気にしない。これを見たくて首を長くして待っていた」と高津監督。最後のサプライズも、エース候補に対する期待の表れだった。(秋村 誠人)

 ▼星稜・林和成監督(神宮球場のスタンドで観戦)寒さや緊張もあって思うような投球はできなかっただろうが、これも彼の通る道。セットポジションの入り方や細かい部分は変えていたが、大きな軸は高校時代からブレていない。体も大きくなったように見えた。初回は直球が多かったが、直球で勝負できる投手になってほしいという球団としてのメッセージもあると思う。私もそういう投手になってほしいと思う。

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