ソフトB、3年ぶりリーグ制覇!コロナも悲報も乗り越え…工藤監督「選手たちが最善を尽くしてくれた」

[ 2020年10月28日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク5-1ロッテ ( 2020年10月27日    ペイペイD )

<ソ・ロ>3年ぶりにリーグ優勝を果たし、グラウンドを一周するソフトバンクナイン(撮影・長久保豊)
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 ソフトバンクは27日、優勝マジック2で迎えた2位・ロッテとの直接対決を制して3年ぶり21度目(1リーグ時代含む)のリーグ優勝を決めた。工藤公康監督(57)率いるチームは新型コロナ感染拡大による混乱、3軍コンディショニング担当だった川村隆史さん(享年55)との悲しい別れも乗り越え、全国に明るい話題を届けた。11月14日開幕のクライマックスシリーズ(CS)も勝ち抜き、4年連続日本一を目指す。

 ゆっくりと、歩きだす。歓喜の輪はない。勝利のハイタッチで、マスク姿のナインをねぎらう。4カ月前の開幕時には無観客だったペイペイドーム。この日は1万9988人のファンがいた。万歳三唱後の優勝監督インタビュー。工藤監督が、お立ち台に上がった。

 「みんなの顔を見た時に勝ったんだという自覚と、ホッとしています。選手たちが勝つために最善を尽くしてくれた結果だと思う」

 未知のウイルスとの闘いでもあった1年。4月7日、福岡にも緊急事態宣言が出された。先行き不透明な中でチームは感染防止のため8班に分かれ練習。そんな中、最前線で闘う医療従事者が飲食店などで入店を拒否されるなど誹謗(ひぼう)中傷が繰り返された。

 「なぜこんなことが起きるのか…」。信じられなかった。すぐに行動に移す。選手も球団も動いた。鷹の祭典で着用する帽子、ユニホームには医療従事者への感謝の気持ちを込めた青、感染防止の決意を示す黄色を入れた。17万枚のレプリカユニホームを県内の医療従事者に届けた。「医療従事者の方の思い、言葉、言霊。目に見えるものではないが力になった」と言い切る。

 例年以上に選手の体調に目を光らせた。開幕は約3カ月も遅れ、8度の優勝を誇る得意の交流戦もなくなった。143から120試合に減ったとはいえ、序盤は9週連続で同一カード6連戦が組まれ、9月以降は9週連続で金曜日が移動試合となる過酷な日程。先発陣では和田、石川が3度、東浜は1度、出場選手登録を抹消して登板間隔を空け、救援陣の3連投も禁じた。現在のチーム防御率2・96はリーグトップだ。

 遠征先ではトレーナー陣を交えオンラインミーティングを頻繁に実施。個々のコンディションを把握した上でゲームプランを組み立てた。故障明けの中村晃、柳田らを日替わりでDH起用。栗原、周東ら若手も積極的に使った。タレントがそろっている中、先発オーダーは111試合で実に105通りだった。

 今月9日にロッテにゲーム差なしまで猛追されたが、絶妙な手綱さばきで余力は残っていただけに「ここからだ」と切り替えた。翌日から破竹の12連勝。選手たちを信じていた。15年の監督就任後、シーズンの節目で選手を集めミーティングを実施したが、今年はここまで一度もなし。特別な1年で選手たちはたくましさを増した。

 この日、全員が試合前練習で9月15日に急逝した川村さんの写真やイラストがデザインされたTシャツを着用した。コロナ禍の特別なシーズン、そして悲しい別れも乗り越えて頂点にたどり着いた。

 過去3年連続で日本一も、ここ2年はリーグVを西武に譲った。「首位に立ちながら逆転で負けたのが、なかなか頭から離れることがなかった。一つも落とさないつもりでCSを勝ちたい」と工藤監督。目指すは巨人V9以来となる4年連続の日本一。戦いは続く(川島 毅洋)

 ▼ソフトバンク・孫正義オーナー 今年は世界中の人々が新型コロナウイルスの影響で苦しんだ。そんな中で一つの明るい、我々にとってのニュースができた。うれしく思う。素晴らしい球団になったなと感じている。

 ▼斉藤惇コミッショナー チーム全員にコロナにも負けない元気を感じた。まさに総合力で勝ち取ったリーグ優勝。

 ▽福岡ソフトバンクホークス 1938年に南海電鉄を経営母体として創設。44年に近畿日本、46年に近畿グレートリングと改称し47年から南海ホークス。1リーグ時代に2度優勝し、73年まで10度のパ・リーグ制覇(日本一2度)。95年から王貞治監督が指揮を執り99年にダイエーとして初優勝、日本一にも輝いた。球団買収により05年からはソフトバンクとして参戦。

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