巨人“即戦力と育成”でドラフト史上最多19人を指名 背景にある球団方針とは

[ 2020年10月28日 09:00 ]

巨人のドラフト1位指名、亜大・平内
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 26日のドラフト会議で、巨人は育成を含めてドラフト史上最多の19人を指名した。原監督は「バランスが良く100点に近い」と総括した。本指名の7人は即戦力を重視。育成12人は「血の入れ替え」というビジョンを明確に打ち出した形だ。

 3年後、もしくは4年後にドラフト1位指名される可能性のある「金の卵」をファームで育て上げる。編成実務のトップ、大塚淳弘球団副代表編成担当は「発掘と育成の元年」とテーマを説明した。

 育成6位で唐津商の捕手・坂本勇人、同8位で札幌大谷の左腕で2メートルの阿部を指名した。話題性のある指名を連発したのには、近未来を見据えた卓上の戦略があったがゆえだ。

 昨季以前に育成から2桁背番号を勝ち取った増田大や松原は1軍に定着。首位独走を支える戦力に成長した。現在チームに所属する育成選手は20人。単純計算で来季、半数を超える選手が入れ替わることになる。過去に大塚副代表は「うちは“お金で優勝”とか言われてきた。発掘や育成にシフトし始めている」と球団方針を示している。

 今季は12球団最多の5人を育成から支配下に昇格させた。今年8月1日には、異例のシーズン中の人事を敢行。1、2軍コーチやスカウト経験もある井上3軍監督を、空席だったファームディレクターのポストに起用した。伸びしろのある選手を見極めるためで、大塚副代表は「力のない選手は早めに入れ替える。残すのは選手にとっては不幸だと思う」と話していた。

 弱肉強食の厳しいプロ野球界で正当な方針だと思う。3軍戦を戦うための要因として残るならば、若く選択肢の多いうちに別の道を示すのもまた親心か。

 一方、本指名では大学、社会人の投手を4人指名。亜大・平内は今秋に最速156キロを叩き出した本格派右腕で、来季の先発の一角として期待される。2位の東海大・山崎は今年6月に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けたが、1年4カ月後の復活を見込んでいる。

 1~3軍を統括する原全権監督の下で「勝ちながら育成する」。来季と近未来の両方を見据えたドラフト戦略だったのである。(記者コラム・神田 佑)

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2020年10月28日のニュース