大谷翔平「疲れる前に終わった」 悔しい復帰マウンド 巻き返しに期待

[ 2020年7月27日 09:47 ]

アスレチックス戦に先発した大谷だったが…(AP)
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 エンゼルス・大谷翔平投手(26)が693日ぶりの公式戦登板を果たした。1死も取れず3安打、3四球、5失点で降板。日本ハム時代から担当7年目で、大谷のこんな姿を見たのは初めてだったが、無事に投手復帰できたことは一担当記者として感慨深かった。

 全30球を投げ、そのうち直球が16球、スライダーが10球、スプリットが2球、カーブが2球。直球の最速は95マイル(約153キロ)で、スライダーは76~81マイル(約122~約130キロ)とメジャー1年目の18年と比較して全体的に約5キロほど球速が出ていなかった。試合後のオンライン会見で大谷も「腕がいまいち振り切れていなかった。打者を抑えにいくという気持ちよりも球を投げることに集中していた感じ」と振り返ったように、本来の姿ではなかった。

 ただ、良い球がなかったわけではない。初回無死満塁。2ボールからの4番・オルソンへの3球目、94マイル(約151キロ)直球は真ん中低めの見逃しストライクとなった。しっかり指にかかった球でここから“直球の質”が良くなったように見えた。結果として押し出し四球を与え、続くキャンハ、グロスマンに連続適時打を浴びて降板となったが、3番打者までの投球とは明らかに違ったように見えた。

 とはいえ、空振りはゼロ(ファウルは7)、ボールは半数の15球と本調子にはまだ遠い。18年10月1日に右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けてから、約1年10カ月。近年はリハビリに12カ月以上の長い期間を設けるのが主流とはいえ、実戦から遠ざかりすぎたのかもしれない。コロナ禍の影響で当初の5月中旬復帰から約2カ月遅れの投手復帰。より万全に仕上げられるはずだったが、逆に投手としての試合勘の無さが浮き彫りとなった形だ。大谷が「打席とは違うちょっと違う緊張感があるかなと思います。久々のスケジュールを含めてふわふわした感じはあった」と話したように、確かにマウンドでの表情からは不安や緊張感が感じられた。

 おそらくここまで悔しいマウンドはアマチュア時代を含めても過去に経験がないはずだ。「そんなに(球数を)投げていないですし、体的にも疲れる前に終わったなっていう感じ」と語っており、手術した右肘や左膝の状態が27日(日本時間28日)以降も問題なければ、この日の登板はひとまず良かったと思いたい。大谷ならきっと次回につなげる。巻き返しに期待したい。(記者コラム・柳原 直之)

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