エンゼルス・大谷 紅白戦で今季1号 昨年9月手術の左膝回復感じさせた305日ぶり快音

[ 2020年7月14日 02:30 ]

紅白戦の第3打席、中越えに2ランを放つ大谷
Photo By ゲッティ=共同

 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が12日(日本時間13日)の紅白戦に「3番・DH」で出場し、今季初本塁打を放った。本拠地での本塁打は19年9月11日のインディアンス戦以来、305日ぶりだった。日本ハム時代から大谷を取材する柳原直之記者(34)は中堅方向に伸びた一発に、昨年9月に手術した左膝の回復を感じた。大谷は二刀流として迎える24日(同25日)の開幕に向け、13日(同14日)の紅白戦で2度目の登板を迎える。

 左打者として軸足となる大事な左足。かつて大谷は自身の打撃について「左足に体重を乗せながら(踏み込んだ)右足の反発を使っている」と語ったことがあった。

 打者として2度目の紅白戦出場。5回2死一塁。開幕投手を務めるヒーニーの外角球を捉えた初本塁打はまさに、その反発を使ったもの。中堅左の球場名物「ロックパイル」と呼ばれる岩山の麓まで運んだ。左足に体重がしっかり乗っていたからこそ、中堅手トラウトが懸命に伸ばしたグラブの上を行く飛距離を生んだ。3回には同じヒーニーから右前打を放ち3打数2安打2打点。本来の打撃を取り戻したと感じる。

 18年10月に右肘じん帯再建手術を受けた大谷は昨季は打者に専念した。だが、昨年9月13日、シーズン終了を待たずに左膝膝蓋(しつがい)骨の手術を受けた。その9月は34打席で15三振し、そのうち空振り三振が13。日本ハム時代から、これほど空振りする姿を見たことはなく、体重を乗せる左膝の痛みが打撃に影響があったのだと容易に想像できた。

 回復を待つだけでなく、地道に強化してきた成果は出ている。昨季終了後のオフ、大谷は自身と水原一平通訳のために自転車を購入した。「リハビリもそうですし、トレーニングにも使える」。購入した自転車は約9000ドル(約96万円)の「S―WORKS DIVERGE」最上級モデルで、ペダルなどの部品は取り寄せの特注品。車体のフレームはカーボンファイバー素材で軽く、衝撃吸収性の高いものだ。左膝への負担を軽減しながら、下半身を鍛えた。一時帰国時には日本に郵送し、トレーニングを継続した。先日、大谷はSNSに495ポンド(約225キロ)の重量で背中や下半身を鍛える「デッドリフト」を行う様子を投稿したことを見ても、左膝の状態に不安はない。

 3月中旬にキャンプが中断するまでのオープン戦は19打数2安打(打率・105)、11三振。右足を上げる打ち方を試し、途中から昨季までのノーステップ打法に戻したが、タイミングのズレを修正できなかった。すでに60試合制の今季は昨季同様、右足を上げないことを決めた。開幕が遅れたことも、しっかりと修正につなげた。

 大谷は26日(同27日)の開幕3戦目、敵地アスレチックス戦の登板が有力視され、24日の開幕戦はDH出場の見込みだ。あとは投手として、左足を踏み込んだ時の感覚がどうか。それさえクリアできれば、二刀流で新人王を獲得した18年以上の輝きを期待できる。 (柳原 直之)

 ○…大谷の本塁打の打球別方向を見ると、メジャー1年目の18年は22本塁打のうち半数の11本が中堅方向だった。昨年はその中堅方向の打球が減り、左翼方向が増えた。昨年、米メディアの中には「差し込まれた打球が多い」との指摘もあった。本塁打の平均飛距離を見ると、18年の125.1メートルから19年は123.8メートルと1.3メートル短くなった。

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