新井貴浩氏 序盤は選手の状態見定め 50試合からが本当のスタート

[ 2020年6月2日 08:30 ]

新井貴浩氏
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 【新井さんが行く!】開幕まで約3週間。誰も経験したことがない難しい準備になる。大変なことは間違いない。ただ、今一番大変なのは、医療の最前線にいる人たちだ。選手たちも十分に分かっていると思う。

 やはり打者よりも投手の方が調整は難しい。先発陣の登板は2度、多くても3度。救援陣は状態を上げながら、連投も試さないといけない。2軍戦も使ってイニング数を振り分け、「調整」と「競争」が同時に進行。その点では見極める側の首脳陣も大変だ。

 打者は1試合に3~4打席立つとすれば、開幕まで約40打席。生きた球を2カ月以上も見ていない。逆算して、まずは目慣らしから…という状況ではない。今の状態を知るには、自分から仕掛けることだ。スピードや変化球にどれくらいついていけるのか、ズレがあるのか。現状を把握すれば、微調整もしやすい。そのためには普段以上にアグレッシブに振っていくことが大切だと思う。

 レギュラーシーズンは試合数が減り、スタートダッシュを重視する向きが強い。ただ、スタートにあまりこだわり過ぎると、つまずいたときの反動が心配だ。何より故障が怖いし、感染状況によってはイレギュラーな事態も起こり得る。心身両方のケアが例年以上に必要になる。

 順調に進めば、50試合に到達するのは8月上旬ごろ。そこからが勝負と考えていい。最初の50試合を勝率5割なら御の字。開幕してからも、いろいろなことを試しながらチーム力を整備する期間と捉え、選手の状態や成長を見定めていくことが大事だと思う。2段階でスタートするイメージだ。どのチームも条件は同じ。慌てる必要はない。

 今回、選手たちは考える時間を多く持った。感じたことがたくさんあると思う。心のままにグラウンドで見せればいい。当面の間は無観客での開催で、気持ちの面での難しさがある。ある意味試されていると思う。打った、打たないなどの結果だけではない。全力疾走や一投一打への集中力…。全てのことを精いっぱいやってくれると思う。その選手たちの一瞬一瞬の表情を、画面を通して多くのファンが見ている。必死で懸命な姿を楽しみに待ちたい。 

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2020年6月2日のニュース