プロ野球界にもいる!!8割おじさん 超高確率で成功させる規格外おじさんに注目

[ 2020年5月12日 05:00 ]

感染症の数理モデルの専門家、西浦教授
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 新型コロナウイルス感染防止のため、外出を自粛して人との接触を減らす日々。厚生労働省のクラスター対策班にも参画する北海道大学の西浦博教授は「接触8割減」を強く提唱し、インターネット上などで「8割おじさん」と呼ばれるなど注目を集める。そこでプロ野球でも「8割」にこだわり、盗塁成功率、勝率、長打率で8割の記録を狙える「おじさん世代」の選手にスポットを当ててみた。 (構成・志賀 喜幸)

 【長打率】
 ソフトバンクのバレンティンはヤクルト時代の13年に史上初の年間60本塁打を放ち、プロ野球新記録の長打率・779をマーク。86年・バース(阪神)の・777を27年ぶりに更新し、未到の8割台に迫った。今季からは9年間プレーした古巣を離れ新天地へ移籍。7月で36歳を迎えるが、昨季まで4年連続30本塁打をクリアとまだまだ衰えを感じさせない。さらに、新たな本拠地のペイペイドームには、長距離砲には心強いホームランテラスもあり、期待できそうだ。かつて日本球界で最も長打率8割に近づいた「おじさん助っ人」が、あと12本に迫る通算300本塁打到達とともに、夢の大台に再び挑む。

 なお、メジャーでは史上2人がシーズン長打率8割を達成。ベーブ・ルース(ヤンキース)は1920年に・847、翌21年に・846をマーク。もう一人はバリー・ボンズ(ジャイアンツ)で、2001年に・863(メジャー記録)、04年に・812を記録している。

 【盗塁】
 マリンの韋駄天(いだてん)、ロッテの荻野は今季が35歳シーズンになるが、昨季は自己新の28盗塁とその俊足に衰えは感じられない。通算盗塁数は歴代74位の201。失敗はわずか37しかなく、通算の盗塁成功率は・845を誇る。次の大きな区切りは通算250盗塁となるが、それ以上の盗塁数で成功率8割超の生涯成績を残したのは広瀬叔功(南海)の・829(596盗塁)を筆頭に史上4人だけ。ベテランの域に達した荻野が高い精度を維持し、250盗塁&盗塁成功率8割超を記録できるか楽しみだ。また、シーズン盗塁成功率でも8割を狙いたい。35歳以上のシーズンで、盗塁を30以上企図し、成功率8割以上をマークすると、93年大石大二郎(近鉄=35歳)の・816(31盗塁、失敗7)以来27年ぶり。ロッテでは50年呉昌征(・829=当時毎日)、54年別当薫(・850=当時毎日)、80年有藤道世(・818)が34歳で8割超をマークしているが、35歳以上では球団初となる。度重なる故障を克服し、走り続ける成功率8割おじさんに期待だ。

 【勝率】
 セ、パ両リーグで、規定投球回に到達し勝率8割以上の投手は81年・間柴茂有(日本ハム)、13年・田中将大(楽天=現ヤンキース)の10割を筆頭に延べ66人。これを年齢別に分けると、10、20代が52人を占め、30代以上は21%の14人しかいない。仮に、30歳以上の投手がシーズン勝率8割以上をマークすると、09年・ゴンザレス(巨人=31歳)の・882以来。35歳以上まで年齢を上げると、73年・米田哲也(阪急=35歳)が・833、83年・高橋直樹(西武=38歳)が・813、85年・東尾修(西武=35歳)が・850を記録して以来35年ぶりになる。

 35歳以上の「おじさん世代」には、高いハードルの勝率8割だが、惜しい記録を持つベテランに今季、狙ってほしい。今季36歳の楽天・岸は14年に30歳で勝率・765(当時西武)、37歳の日本ハム・金子も14年に31歳で・762(当時オリックス)、39歳のソフトバンク・和田は16年に35歳で・750をマーク。いずれも30代で勝率7割5分以上を記録しており、期待が懸かる。シーズンの短縮はスタミナに不安が出始める熟年には追い風となる可能性もある。経験と技術を生かした円熟の投球で勝率8割おじさんとなれるか注目だ。

 ≪100試合以上での最高勝率は51年・南海の.750≫球界には「8割」を超える記録がいくつかある。まずは守備率。チームのシーズン最高守備率はソフトバンクが17年に樹立した.993、一方、最低でも50年の西日本(セの消滅球団)の.957と9割超だ。個人のシーズン最高守備率は投手、捕手、一塁、外野で記録された10割で、その他位置も全て9割9分以上とこちらも8割を優に超えている。また、チームのシーズン勝率8割は阪神がタイガース時代の37年秋(.813)と38年春(.829)、阪神となった44年(.818)に記録した3度のみで、全て50試合未満のシーズン。なお、100試合以上での最高勝率は51年・南海(現ソフトバンク)の.750。同年も、104試合とやや試合が少なくなっており、試合数減少の今季は高勝率の球団が現れるかもしれない。

◆8割おじさん 北海道大大学院医学研究院教授・西浦博氏の愛称。感染症の数理モデルの専門家で、政府の専門家会議と厚生労働省クラスター対策班のメンバーとして新型コロナウイルス対策の最前線で奮闘する。一人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す「基本再生産数」を基に、「人との接触機会8割削減」を提唱。自ら「8割おじさん」と名乗り、4月上旬からインターネット上で呼び名が定着した。大阪府出身。趣味は長時間のジョギング、主な関心事はダイエット。

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