センバツ史上初の中止…「家族の感染」まで防止策打ち出せず

[ 2020年3月12日 05:55 ]

選抜高校野球大会 史上初の中止

選抜臨時運営委員会が始まった午後3時すぎの甲子園球場
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 【記者の目】 史上初の決断に大きく影響を与えた9日の新型コロナウイルス対策連絡会議。中止へと傾いたある指摘があった。「選手だけでなく関係者を含めた家族までの健康管理の徹底」。家族からの感染例もあることが示された。

 さらに関係者の間では選手に感染が判明して大会中止となれば、その学校、当事者は一生傷を負うことになるという意見も出た。メンタル面も含めたケアを尽くすと約束することはできなかった。

 出場する当事者への対策は講じてきた。マスクや消毒液、除菌効果が期待されるオゾン脱臭機17台の設置を予定。出場校の派遣人数を1校27人に制限、メディア関係者も最小限にとどめる方針も決めた。日本高野連の八田会長は「不眠不休で良い対策ができたと思っていたが…」としたが、国難ともいえる状況に立ち向かえる対策をたてる時間は1週間では足りなかった。

 他競技でも続々と選抜大会の中止が決まる中、あくまで独自決断の方針を貫いた。「高校野球だけが特別なのか」との苦情も受けたが、選手の思いに応えるべく開催へ尽力したこと自体は否定されるべきではない。

 学生野球憲章の前文にこんな一節がある。「幸運にも驕(おご)らず悲運にも屈せぬ明朗強靱(きょうじん)な情意を涵養(かんよう)すること、いかなる艱難(かんなん)をも凌(しの)ぎうる強靱な身体を鍛錬すること、これこそ実にわれらの野球を導く理念でなければならない」。高校野球関係者全員が受け止めて再出発の糧としたい。 (アマ野球担当キャップ・松井 いつき)

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2020年3月12日のニュース