東尾修氏 金足農・吉田は桑田、マー君並みの完成度 ギアチェンジ可能にするフォームの再現性

[ 2018年8月9日 08:38 ]

第100回全国高校野球選手権記念大会第4日・1回戦   金足農5―1鹿児島実 ( 2018年8月8日    甲子園 )

<金足農・鹿児島実>14奪三振の完投勝利を挙げた金足農・吉田(撮影・近藤 大暉)
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 驚いた。実際に金足農(秋田)・吉田の投球を見るのは初めてだったが投球フォームに無駄がない。タイプは若干異なるかもしれないが、高校時代の桑田真澄(元巨人)や田中将大(現ヤンキース)並みの完成度がある。具体的には左腰、左肩が開かず、踏み出した左足にしっかり右腕が巻き付いてくる。下半身から得たパワーが一塁側や三塁側に力が逃げるのではなく捕手のミットに一直線に体全体が向かうイメージだ。

 ギアチェンジと簡単に言うが、投球フォームの再現性が高くないと、ボールは暴れる。右投手なら力を入れた際に右打者の内角高めに抜けるか、ひっかいて外角低めのボールになる。しかし、吉田は同じフォームで、体全体の力の配分で球速を変えられる。右投手で一番難しい左打者の膝下、右打者の内角高めもシュート回転がない。150球前後になった9回の145キロ前後の球も、球速表示以上の球威を感じた。

 ピンチでギアチェンジできる試合の流れを読める頭脳もある。プロ志望であるなら、そして、この投球が彼のスタンダードであるならば、ドラフト1位で消えるだろう。(スポニチ本紙評論家)

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