中日・岩瀬「僕自身あっけに…」日本新950試合登板は初体験の幕切れ

[ 2017年8月7日 05:30 ]

セ・リーグ   中日5―4巨人 ( 2017年8月6日    東京ドーム )

<巨・中>アピールプレーで試合終了となり、捕手・武山(左)とタッチする岩瀬
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 中日の岩瀬仁紀投手(42)が6日、巨人戦で通算登板試合を950とし、阪急(現オリックス)などで活躍した米田哲也が持つ949試合登板のプロ野球記録を塗り替えた。1点リードの9回に救援。無失点に抑えて今季2セーブ目を挙げ、自身が持つ最多セーブ記録も404に伸ばした。現役最年長の42歳左腕がプロ19年目で金字塔を打ち立てた。

 1点リードの9回2死一、二塁。緊迫した場面で4番・阿部との対戦と思われたが、岩瀬は本塁には投げず、内野陣の指示で二塁に投げた。直前に中飛で一塁走者の重信が二塁を回って帰塁する際に二塁ベースを空過するミス。アピールが認められてアウトとなり、試合終了となった。

 「まさかあんな形で終わるとは思ってなかった。僕自身あっけに取られてますけど、終わったのでホッとしています」。プロ野球で一番多くマウンドに立った男でも初の幕切れ。それでも歴代単独最多の950試合登板で自身の持つセーブ記録を404に更新し、偉業に花を添えた。

 守護神の田島は今季、東京ドームで防御率23・14。森監督は「チームが勝てる方法を選んだ」と経験豊富なベテラン左腕に最後を託した。9回頭から登板してのセーブは14年7月31日の広島戦以来1102日ぶりだった。

 偉業を支えた強い体を保つ鍵は日々の体の手当てと「コンディショニングの部分で影響が大きかった」という。1年目から毎年、自主トレをしているのが鳥取市の研究施設「ワールドウィング」。同じ中日で50歳までプレーした山本昌らと関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を高めてきた。15年の左肘故障後は同施設の小山裕史代表と体に負担がかからず、回転数の高い球を投げるフォームを目指した。小山代表は「下半身にためた力を指先まで余すことなく伝えることがよりできるようになった」と話す。

 949試合の米田哲也、944試合の金田正一の通算投球回数は5000以上だが、救援投手の岩瀬は1000以下。「数字上は抜きましたけど、比べちゃいけない」と謙虚に言うが、現代における分業制の象徴ともいえる存在で「ストレスはかかりっぱなし。シーズンが終わらないとホッとしない」と語る。重圧に耐えた快挙には先人に勝るとも劣らない重みがある。次の目標も「951(試合目)をしっかり頑張ります」と謙虚に言った。

 ◆岩瀬 仁紀(いわせ・ひとき)1974年(昭49)11月10日生まれ、愛知県出身の42歳。西尾東―愛知大―NTT東海を経て、98年ドラフト2位で中日入団。1年目から中継ぎで活躍し、3度の最優秀中継ぎ投手賞を受賞。04年からは抑えで、05年にプロ野球記録のシーズン46セーブなど最多セーブ5度。通算404セーブは日米通算記録を含む日本人投手最多。1メートル81、85キロ。左投げ左打ち。

 ◆公認野球規則5・09 (C) 次の場合、アピールがあれば走者はアウトとなる。

 (2) ボールインプレーのとき、走者が進塁または逆走に際して各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。

 ≪13年DeNA・ブランコ以来≫帰塁時のベース踏み忘れで試合終了は、13年6月25日のヤクルト―DeNA戦以来。DeNAの攻撃で9回1死一塁から荒波の左邪飛をミレッジが好捕。二塁を回っていた一塁走者のブランコが一塁へ帰塁の際に二塁ベースを踏み忘れヤクルト側がボールを二塁に戻してアピールアウトが成立。中日は今年6月9日オリックス戦でも5回、左中間に運んだマレーロの本塁踏み忘れを見逃さずアピールアウトで本塁打取り消し→三塁打にしている。

 ≪通算最多S404に更新≫岩瀬(中)が6日の巨人戦に完了登板。通算登板数を950試合とし、56〜77年米田哲也(近鉄)の949試合を40年ぶりに更新するプロ野球最多登板記録を樹立した。初登板は99年4月2日の広島戦(ナゴヤD)。また今季2セーブ目を挙げ、自身が記録保持者となっている通算最多セーブも404に増やした。なお、42歳8カ月でのセーブは自身が6月にマークした42歳7カ月を1カ月上回るセ最年長セーブ。今季の登板数も46となり、48年若林忠志(神=40歳)が持つ40代シーズン最多登板記録の48にはあと2と迫った。

 ≪大リーグ記録は1252試合≫大リーグの最多登板記録はジェシー・オロスコの1252試合。79年にメッツでデビューし、主にリリーフで03年まで登板。通算成績は87勝80敗144セーブだった。大リーグではオロスコを筆頭に16人が1000試合登板を達成している。プロ野球の現役投手で岩瀬に次いで多いのが、747試合登板のソフトバンク・五十嵐。10〜12年の大リーグでの83試合を合わせると、日米通算で830試合に登板している。

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