覚醒したハム・大田 心強かった栗山監督の助言「思い切りやってくれ」

[ 2017年6月23日 09:30 ]

インタビューに答える日本ハム・大田
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 巨人から日本ハムにトレードで移籍した大田泰示外野手(27)が、新天地でめざましい活躍を見せている。巨人時代の8年間でわずか9本塁打。「未完の大器」と呼ばれた男はここまで8本塁打を打ち、ついに覚醒した。巨人時代と何が変わったのか。きょう23日から再開するリーグ戦を前に、大田に好調の要因を聞いた。 (聞き手・山田 忠範、柳原 直之)

 ――日本ハムに移籍して本来の力を発揮しているように感じる。

 「打席の中で、しっかりタイミングを取って、自分のポイントで振ることを一番に考えている。球種、コースをしっかり目付けして、そこに対して100で振りにいくことを大事にしている」

 ――巨人時代には意識できなかったのか?

 「やっぱり、“ヒットを打たなくてはいけない”と思って、100のスイングをしてしまうと、ミスショットも起こるし、率を残すためにジャストミートを意識して、“コンパクトにいくしかないな”と思っていた。それで小さくなって、逆にミートできなかったりしたのかな、とは思いますけど」

 ――持ち前のフルスイングができている。

 「自分のバッティングができない歯がゆさ、悔しさがジャイアンツの8年間であったから、そこは変えなければいけないと思った。自分らしく思い切ってやっていく中でダメなら仕方ないし、選手として辞めるしかないのかな、ぐらいの気持ちだった。思い切っていけば必ずいい結果が出ると信じて、今は良い形になってきているのかな、と思う」

 ――栗山監督やコーチからの助言は?

 「監督の“とにかく思い切ってやってくれればいいし、必死にやっている姿をファンに届ければいいから”という言葉は心強かった。城石さん、金子さんからは、“自分のスイングができるところを目付けして、バックスクリーンや右中間に放り込むイメージで練習しろ”と言ってくれるので、そこに意識がいったし、力強いスイングができるようになったとは思います」

 ――パ・リーグは直球で押してくる投手が多い。自分に合っていると思うか?

 「結局は自分が打てると思ったボールを振って、捉えるか捉えないかの差。変化球にしても直球にしても。でも、毎日スタメンで出させてもらって4、5打席ある中で、気持ちの余裕も多少ながらあるし、その中でパフォーマンスを出せる、という気持ちの面もある。セとパの違いはもちろんあるけど、結局は自分が捉えるかどうかの差。だから、心の余裕が一番感じていることかな」

 ――古巣の巨人戦では10打数7安打。本塁打も2本放った。

 「ジャイアンツ戦で打った2本は自分の間合いで振れて、しっかり捉えられて、力みなく飛んでいった感じがしたから、自分の中では大きい感触がありますね」

 ――広い札幌ドームで逆方向に放った。

 「札幌ドームで右に入れられたのは自信。成長できたところなのかな、とも思う」

 ――巨人で松井秀喜氏の背番号55を受け継ぎ、44を経て、現在は33。解放されたか。

 「ゾロ目を今までつけてきたし、自分的には“面白いな”と思って、うれしかったし、いい番号をもらったと思っている。解放と言われれば、解放になるのかもしれないけど、やっぱり昔の55番をつけていた時の記憶もひっくるめて捨てられるものではない」

 ――巨人時代の恩師である原監督からは?

 「クジを引いてもらってジャイアンツに入った経緯もあるし、高校の先輩でもある。いろんな思いがある中で入団して、なかなか結果が出なかったことで、自分への悔しさだったり、そういうものは大きい。トレードが決まり、原さんに電話した時に“球団は替わるけど、野球人として成功してほしい。しっかりそこで結果を出すために、野球人として頑張ってきなさい”と言われた」

 ――栗山監督への思いは。

 「やっぱり声を掛けてくれたファイターズにも感謝しているし、栗山さんから“喉から手が出るほど欲しかった選手”と言ってもらったこともうれしかった。自分の力が必要とされることは、凄いやりがいにもなるし、うれしいことだから」

◆大田 泰示(おおた・たいし)1990年(平2)6月9日、広島県生まれの27歳。東海大相模では2、3年夏の神奈川大会でいずれも準優勝に終わり、甲子園出場はなし。高校通算65本塁打。08年ドラフト1位で巨人に入団。09年6月21日のロッテ戦(東京ドーム)でプロ初出場。今季年俸は2100万円。1メートル88、95キロ。右投げ右打ち。

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