野球道具に見る時代の移り変わり 侍ジャパンも、高校野球も… 

[ 2017年4月22日 15:45 ]

リュックを背負い、引き揚げる東海大甲府ナイン
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 野球担当記者歴はまだ5年目と浅いが、昨今の野球用品の「トレンドの変化」が実に興味深い。ここ数年で分かりやすいものと言えば、野球用品を持ち歩くバッグ。今やプロアマ問わずリュックが全盛で、斜めがけのショルダーバッグを見る機会はかなり少なくなった。関西出身の記者が高校球児だった約15年前は、そのショルダーバッグの紐を極端に短く結んで肩に掛ける持ち方が流行していたが、今や全く見なくなった。

 最近では、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦った侍ジャパンの面々が練習中に着用した「あるシャツ」に目を奪われた。ストライプの試合用ユニホームと同じデザインだが、背中には背番号だけで名前がプリントされていない。よく見たらサイズも1サイズ、2サイズ大きい。実はこれ、試合用ユニホームと全く同じ素材で作られた、練習用公式シャツだった。

 ミズノ社がこの大会から侍ジャパンに提供した新商品で、試合と同素材のシャツで練習することで、試合に違和感なく入り込める効果がある。ユニホームと違ってボタン式ではなく、裾はリブになっていて着脱も簡単だ。そもそも今大会で着用したユニホーム(上着)は従来より15グラムも軽量化したわずか125グラムの最軽量モデル。ある選手は「着ている感覚があまりない」と感嘆の声もあげていた。

 その侍ジャパンも採用しているが、ユニホームのロゴは今や刺繍ではなく「昇華プリント」が主流だ。「昇華プリント」とは熱によってインクを直接、繊維に染色するプリント技術。剥がれることがなく、通気性も良い。当然、刺繍よりも軽いから動きやすい。記者が13年夏に高校野球取材で甲子園を訪れた時には、すでに代表校の多くが「昇華」で、「刺繍」が少ないことに驚いたことがあった。一方でプロ野球界では日本ハムが今でも「刺繍」を採用するなど、独自のこだわりを持つ球団もあるから面白い。

 技術やトレーニングが進化すれば、もちろん道具も進化を遂げている。「トレンドの変化」と言えば、最近は帽子のつばを折り曲げる選手も少なくなってきた。ロングパンツは当たり前で、裾を上げたら「オールドスタイル」と呼ばれる。プロ野球の歴史はすでに80年を超え、高校野球に目を移すと夏の甲子園は来年に100回大会を迎える。まさに国民的スポーツ。道具に見る時代の移り変わりもまた面白い。(記者コラム・柳原 直之)

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2017年4月22日のニュース