ヤクルト新垣が引退決断 松坂世代がまた一人…ユニホーム脱ぐ

[ 2016年11月29日 06:00 ]

現役引退を決断した新垣
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 ソフトバンクとヤクルトで活躍した新垣渚投手(36)が、現役引退を決断したことが28日、分かった。この日は千葉県内で行われたヤクルトの投手会ゴルフに参加。その後、自宅で家族と話し合いを持ち、ユニホームを脱ぐことを伝えた。「松坂世代」の一人として、02年のドラフト自由枠でダイエー(現ソフトバンク)に入団。宝刀のスライダーを武器に04年には奪三振王のタイトルも獲得した右腕が、14年間の現役生活に別れを告げる。

 引退を決めた新垣の表情は、マウンド上とは違った。この日夜、スポニチ本紙の取材に応じ「現役生活を終えることを決めました。14年間もやらせていただき、悔いはないです。在籍したホークス、ヤクルトの関係者の皆さまをはじめ、自分の野球人生に携わってくれた全ての方に感謝しています」と穏やかな口調で答えた。

 沖縄水産時代に甲子園に2度出場。「沖縄の怪腕」と称され、同学年の松坂(現ソフトバンク)とともに注目を浴びた。ホークスでは1年目から先発ローテーションに定着。いきなり日本一に貢献した。その後も、斉藤、杉内、和田と強固な「先発4本柱」を形成し、04年には最多奪三振のタイトルにも輝いた。

 07年以降は苦しんだ。同年にはプロ野球タイのシーズン25暴投を記録。14年途中にトレードでヤクルトに移籍した。それでも、15年には2年ぶりの1軍勝利を挙げ、2球団でリーグ優勝を経験。「環境を変えてチャンスを与えてくれた両球団には、感謝の気持ちしかない」と目を潤ませた。

 今季は6試合で1勝2敗。オフに戦力外通告を受けた。今月12日の12球団合同トライアウトでは打者3人を無安打に打ち取ったが、他球団からのオファーはなかった。通算成績は64勝64敗。全盛時はスライダーで三振の山を築き、記憶に残る投手だった。

 一番の思い出は、2年目の04年9月12日のお立ち台だという。当時、球団消滅問題に揺れていた近鉄戦(福岡ドーム)に勝利し「また来年も、近鉄と対戦がしたいです!」と心の底から叫んだ。「敵とか味方は関係なく、球場全体が一体となって盛り上がってくれました」。地鳴りのような歓声は今でも忘れない。

 家族はホークス時代の同僚だった巨人の杉内の妻・えりかさんの妹である、ゆいさんと6歳と4歳の2人の愛娘。「トレードの時は単身も考えたけど、嫁が“一緒に行くよ”と言ってくれた。子供たちの笑顔には毎日、癒やされた。家族とファンの皆さんが、心の支えでした」と話した。

 今後は未定だが「野球への恩返しがしたいです」。新垣の第2の野球人生がまもなく始まる。

 ◆新垣 渚(あらかき・なぎさ)1980年(昭55)5月9日、沖縄県生まれの36歳。沖縄水産では3年時に春夏連続甲子園出場。九州共立大を経て、02年ドラフト自由枠でダイエー(現ソフトバンク)入団。2年目の04年から3年連続2桁勝利を挙げ、04年は最多奪三振のタイトル獲得。14年7月にヤクルトにトレード移籍した。今季は6試合登板にとどまり、10月1日に戦力外通告を受けた。1メートル90、83キロ。右投げ右打ち。

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