阪神・高山 天国の祖父にささげる新人王 虎野手では01年赤星以来

[ 2016年11月29日 07:20 ]

「NPB AWARDS 2016 supported by リポビタンD」 ( 2016年11月28日 )

新人王のスピーチをする阪神・高山
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 黒のスーツと深緑のネクタイに身を包み、緊張の表情で登壇した阪神・高山は無数のフラッシュを浴びて思わず白い歯を見せた。阪神では07年の上園啓史以来、野手としては01年の赤星憲広以来の新人王獲得。「新人王は1回しかない」と達成感をかみしめ、全試合出場とタイトル獲得を来季目標に掲げた。

 「来年も外野手の競争は激しい。競争を勝ち抜けるように全試合スタメンで出られるように頑張りたい。いろいろな記録を残された選手たちと、もう一回、同じ舞台に立てるように成績を残さないと。来年は違った形で、この会に来たい。今日で改めて優勝したいなと思いました」

 大切な人へささげる栄誉だった。25日に祖父・龍平さんが都内病院で胆管がんのため79歳で死去。「明大の時からずっと試合を見に来てくれた。(東京六大学リーグで)最多安打を達成した時も応援してくれていた。新人王の発表は見せられなかったけど、またどこかで見てくれていると思うので」。神妙な面持ちで「家族をはじめ、プロ野球人生に関わってくれた指導者、応援してくれた皆さんに感謝したい」と静かに喜んだ。

 恩返しはまだ始まったばかりだ。ドラフト1位入団の重圧と期待に応えるように134試合に出場して136安打で球団新人最多安打記録を更新。新人王投票でも220票を集めて32票だった2位のDeNA・今永に大差を付けた。阪神選手としては唯一の出席で、来季からは猛虎の先輩となる糸井にも対面してあいさつ。球界を代表する選手たちとの交流に刺激も受け、「僕は記録を残しての表彰ではないので来年以降もっと結果を出していかないといけない」と厳しく自らを律した。

 くしくも1年前はNPBアワーズが開かれた同じ日に会場と隣接するホテルで阪神と仮契約を交わした。「会場に来る道で思い出しました。1年早かったですね」。成功も失敗も経験した充実の1年目を最高の形で締めくくった。 (久林 幸平)

 ▼赤星憲広氏(スポニチ本紙評論家、01年に新人王を獲得)今年の高山の成績なら受賞は当然だと思う。よく言われる“2年目のジンクス”という言葉があるけど、今年夏場に研究されて状態が落ちたところを一度乗り越えているので、来年の彼にはもう当てはまらないと思う。

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