侍 タイブレーク想定“ブルドック”確認 遊撃手が三塁カバー

[ 2016年11月9日 09:05 ]

バントシフト練習で三塁のベースカバーに入る遊撃手・坂本

 来年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンは8日、10~13日のメキシコ、オランダとの強化試合(東京ドーム)に備え、QVCマリンで3日目の全体練習を行った。小久保裕紀監督(45)は投手を含めた内野連係プレーで、延長10回から導入されるタイブレークを想定した「ブルドッグ」と呼ばれるバントシフトを確認。日本が得意とする緻密な野球が、世界一奪回への鍵となる。

 キャッチボールを終えたナインが、内野で円陣を組んだ。その直後、走者一、二塁を想定したバントシフトの練習が始まった。田口ら7投手が交代でマウンドに上がり、内野陣と連係を確認。その中で時間を割いたのが「ブルドッグ」だった。

 大胆なシフトの練習意図について、小久保監督は「可能性としてはタイブレークで一番使うことになると思う」と説明した。投手のモーションに合わせ、一、三塁手がチャージをかける。遊撃手が三塁、二塁手が一塁ベースカバーに入る動きが、ブルドッグのたるんだ両頬に似ているために、そう呼ばれる。通常、二塁走者を進めるためのバントは三塁側に転がすのがセオリー。三塁ベースを遊撃手がカバーすることで、三塁封殺を狙うシフトだ。

 今回の強化試合では延長10回からタイブレークが導入される。無死一、二塁の場面から攻撃を始める特別ルール。来年3月のWBCでもタイブレーク導入は確実なだけに、奈良原ヘッドコーチは「中南米のチームであっても、試合の終盤にはバントを多用してくる。(三塁で)アウトをしっかり取りたいときに、そのシフトを敷く可能性がある」と続けた。

 WBC1次ラウンドではキューバと同組。豪快な打撃ばかりが注目されるが、1点を争う試合ではバントで確実に走者を進めてくることも考えられる。「ブルドッグ」はバントの確率がほぼ100%のときに敷くシフト。バスターされれば内野はヒットゾーンが広く空いているため、ギャンブル的なシフトと言えるが、ここぞの場面で決まれば、勝利を引き寄せるビッグプレーになる。

 内野のリーダー役として遊撃を守る坂本は「一発勝負の中で使えるかもしれないので」と話した。シーズン中でも、年に数回程度しか見られない「ブルドッグ」。世界一奪回へ向け最善の準備を続ける。 (川島 毅洋)

 ▼仁志・内野守備走塁コーチ(ブルドッグについて)タイブレークもあるので。昨日と連係に入る投手が代わったから、その確認をした。

 ▽タイブレーク WBCでは09年の第2回大会から導入。延長12回を終えて決着しない場合、13回以降は無死一、二塁から行う。打順は12回終了時から引き継ぎ、先頭打者の直前2人が一、二塁走者。昨年11月のプレミア12では延長10回から導入され、無死一、二塁で任意の打順から始め、11回以降は前の回の打順を引き継ぐ形だった。侍ジャパンはWBC、プレミア12のいずれの大会でも、タイブ レークを経験していない。

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