【夏の1ページ】骨折もベンチ入り 作新学院、背番11がナイン鼓舞

[ 2016年8月22日 08:10 ]

<北海・作新学院>6回、伝令でマウンドの今井(右)に声をかける作新学院・藤沼

第98回全国高校野球選手権最終日・決勝 作新学院7―1北海

(8月21日 甲子園)
 ベンチの最前列で優勝の瞬間を見届けた作新学院の控え、藤沼の目に涙があふれた。ゲームセットと同時にマウンドへ。「言葉にできないくらい最高の瞬間でした。みんなに感謝」。今井に抱きつき歓喜の輪へ。前夜にナインから「明日は絶対、輪の中に入れよ」と言葉を掛けられていた。

 栃木大会では輪の中に入れなかった。決勝で三邪飛を追ってフェンスに激突し病院に直行。右手首骨折で全治2カ月と診断された。約8センチのプレートと6本のボルトが埋め込まれ、母・純子さんに「駄目だと思う」と漏らした。しかし、入院中の7月末、メンバー入りを知らされた。「外れた選手の分まで」。背番号11は利き腕とは逆の左手で打撃練習のトスを上げ、守備練習では球拾い。伝令役にも選ばれ、決勝でも6回1死一、二塁のピンチでマウンドに走り今井を鼓舞した。

 栃木大会の優勝メダルは、病院に駆けつけた小針監督から「閉会式をするぞ」と首にかけてもらった。その感動が残っている。甲子園の優勝メダルは、きょう22日が誕生日で中学まで指導者として野球を教えてくれた父・勲さんにプレゼントする。感謝を学んだ聖地のお土産だ。 (水口 隆博)

 ◆藤沼 竜矢(ふじぬま・りゅうや)1998年(平10)4月27日、栃木県下野市出身の18歳。小1から父が監督を務める吉田西クラブで野球を始め、中学時代は栃木下野リトルシニア。作新学院では2年秋にベンチ入り。主に内野手と投手。1メートル74、72キロ。右投げ右打ち。

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