東北エース左腕に甲子園ざわついた テークバックゼロ投法を披露

[ 2016年8月4日 05:30 ]

話題の「テークバックゼロ投法」を披露する東北・渡辺

第98回全国高校野球選手権大会・甲子園練習

(8月3日)
 第98回全国高校野球選手権大会(7日から15日間)の出場校による甲子園練習が3日に行われ、16校が参加した。7年ぶりに出場する東北(宮城)のエース左腕・渡辺法聖投手(3年)はマウンドから投球練習を行い、話題の「テークバックゼロ投法」を披露。全国の強豪校を幻惑することを宣言した。4日の最終日は横浜(神奈川)など9校が参加。午後4時からは大阪市のフェスティバルホールで組み合わせ抽選会が行われる。

 10人以上のカメラマンが、捕手の後ろから一斉にシャッターを切る。ドラフト候補並みの注目度。渡辺はグラブを顔に近づけ、ほぼテークバックせずに鋭い速球を20球投げ込んだ。球の出どころが見えない。その変則ぶりに、スタンドにいた観衆やこの日練習を行った他校の選手がざわついた。

 「今までで一番いいマウンドでした。テークバックが小さいので、いきなり球が出てくる。打者から見えづらい長所を生かして打ち取りたい」。宮城大会は全6試合に先発し、利府との決勝で完封するなど48回を8失点、防御率0・75。与四死球は10と制球力も光る。

 変則投法は試行錯誤の末に生まれた。元々は大きいテークバックから投げていたが、昨春から制球難に陥った。昨年は公式戦登板なし。この冬にさまざまなフォームを試し「一番しっくりきた」と自己流でたどり着いたのが「テークバックゼロ投法」だった。最初はチームメートから「何だ、そのフォーム」と笑われたが、春先から試合で結果を出すうちに認められた。

 最速も以前のフォームから19キロアップの139キロになり「下半身主導でスピンのかかる球が投げられるようになった」と胸を張る。今春に遠征で甲子園を見学した際、我妻敏監督から「夏にこの場所に立たせてくれ」と頼まれ、導いた7年ぶりの夢舞台。渡辺は「一戦必勝。1試合ずつ投げ勝っていきたい」と全国の強打者を翻弄(ほんろう)することを誓った。 (青木 貴紀)

 ◆渡辺 法聖(わたなべ・ほうせい)1998年(平10)6月24日、宮城県生まれの18歳。小3から東長町スワローズで軟式野球を始めて投手。郡山中野球部でも投手。東北では1年夏に初めてベンチ入り。2年秋に再びベンチ入りし、3年春からエース。1メートル79、82キロ。左投げ左打ち。50メートル走6秒3、遠投105メートル。

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