【熊本】阿蘇中央 3年ぶり初戦突破 地震から復興目指す夏

[ 2016年7月17日 05:30 ]

<阿蘇中央―苓明・苓洋・天草拓心>校歌を歌う阿蘇中央ナイン

第98回全国高校野球選手権熊本大会1回戦 阿蘇中央5―3苓明・苓洋・天草拓心

(7月16日 藤崎台県営)
 阿蘇中央に野球の神様が味方した。3―3の6回2死二、三塁で4番・岡の打球は右翼への平凡な飛球だったが、右翼手が落球。

 2人の走者が本塁を駆け抜けて「打ち取られた、と思った。ラッキーでした」。さらに背番号8ながら先発した岡は2回に3点を先制されたものの、6回以降は無安打に抑えて3安打完投。投打で3年ぶり初戦突破に貢献して「みんながよく守ってくれた」とバックに感謝した。

 4月の熊本地震。岡は南阿蘇村の自宅で被災した。家屋は半壊。その後は約2カ月間、車内、テントでの生活を余儀なくされた。6月中旬にようやく家族6人で避難所に指定されている南阿蘇村の施設「阿蘇ファームランド」に入所できた。同校は阿蘇市唯一の高校。死者、行方不明者22人が出た12年の九州北部豪雨でもグラウンドは冠水し、部活動休止に追い込まれている。

 試合前の円陣で後藤至成監督は「勝って地域に元気を与えよう。野球ができない状態だったのだから楽しもう」と選手に伝えた。「3回戦までは行きたい。ずっと勝ち続けたい」と岡。復興を目指す夏は、簡単に終わらせない。 (杉浦 友樹)

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2016年7月17日のニュース