“史上最高”の救援トリオを誇るヤンキース 打線の不振続けば解体も

[ 2016年6月27日 09:10 ]

ヤンキースのチャプマン(AP)

 大リーグでひそかに進行中だった「大記録」は、あえなく途絶えた。6月25日、ヤンキース―ツインズ戦の9回。ツ軍の先頭ヌネスが、ヤ軍の守護神チャプマンから左飛を打ち上げた瞬間だ。

 初めて3戦連続のそろい踏みとなったヤ軍が誇るベタンセス、ミラー、チャプマンの救援トリオは、22日ロッキーズ戦、田中が先発し5勝目を挙げた24日ツ軍戦の2試合連続で完全リレー。しかも、その6イニング18アウトは11三振と内野ゴロ6個、内野フライ1個で、外野への打球を一切許していなかった。もちろん正式な記録ではないが、3試合にわたる超が付く「完全試合」は消滅した。

 さらに2死からマウアーに左前打を浴びたことで、27人連続アウトもあと1人のところでかなわず。それでも、許した走者は9イニングでこの1安打のみ。ヤ軍の16年版「勝利の方程式」の圧倒ぶりを物語るには十分だった。

 ヤ軍担当歴20年目の大ベテラン、ニューヨーク・ポスト紙のジョージ・キング記者(60)は言う。「同一チームの救援トリオというカテゴリーで言えば、私が見てきた中で彼らがナンバーワン。ストライクさえ投げていれば、打たれないんだから」。25日終了時点で、3人全員が登板した今季12試合は全勝。このトリオを中心に、同日までの8試合でヤ軍の救援陣は41三振を奪い、無四球というデータもある。

 最速105マイル(約169キロ)の左腕チャプマンは日本の野球ファンにもおなじみだと思うが、7、8回を務める2人も100マイル(約161キロ)前後の直球を投げる。ベタンセスは2メートル7の長身を生かしたパワーピッチングが売り。ミラーは今年4月に初対戦したマリナーズ・青木が「衝撃的すぎた。(左腕で)世界一かもしれない」と評したほど、切れ味のあるスライダーが武器だ。

 ちなみに、キング記者が選ぶ「史上最高の救援トリオ」ランキングの2位は、90年レッズの世界一の原動力となったチャールトン、ディブル、マイヤーズの通称「ナスティ・ボーイズ」。3位は14年にロイヤルズを29年ぶりのア・リーグ制覇に導いたヘレラ、デービス、ホランドの3人衆である。

 これだけブルペンに厚みがあれば、この2チームと同様、ヤ軍にはリーグ制覇や世界一への道が開けているはずだが…現在はア・リーグ東地区4位。さらにチームの不振が続いた場合、シーズン中にチャプマンやミラーを他球団に放出する可能性も、米メディアの間でささやかれている。トリオ解体の不安を払しょくするには、低調な打線が奮起して巻き返すしかない。(記者コラム・大林 幹雄)

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2016年6月27日のニュース