おかわり162キロの大谷撃ち 今季全6打席三振からの一発

[ 2016年5月16日 05:30 ]

<日・西>7回無死一、二塁 中村は中越え3ランを放つ

パ・リーグ 西武6-3日本ハム

(5月15日 札幌D)
 6三振の借りをまとめて返した。西武・中村剛也内野手(32)が15日の日本ハム戦の7回、大谷翔平投手(21)から決勝の中越え6号3ラン。今季対戦7打席目で初めて快音を響かせ、5回に自身が持つ公式戦最速記録に並ぶ162キロを2球投じていた速球王を粉砕した。パ・リーグ最下位にあえぐチームは負ければ借金10となる試合を獲り、連敗を4で止めた。

 マウンド上でうなだれる大谷。それを横目に、中村は貫禄たっぷりにダイヤモンドを一周した。エース対4番。それも球界最高峰同士の戦いを制した。7回無死一、二塁。チームの窮地で、最高のアーチを架けた。

 中村「(コースは)甘かった。力みなくいいスイングができた。打った瞬間に本塁打と思った」

 大谷「さすがに失投した球は打ってくるなという感じでした。打った中村さんがさすがだけど、僕の中で納得のいくボールではなかった」

 中村はそれまで3打席連続三振だった。それどころか8日の前回対戦から全6打席三振。5回、メヒアの適時二塁打で同点とした直後の無死二、三塁では160キロ剛球に3球三振を喫し、7回の打席も頭の中では直球の軌道を思い描いていた。カウント2―2から大谷が決めにいった球はフォーク――。

 中村「真っすぐを待っていた。フォークを狙っていたわけではない」

 大谷「割り切って投げたので、球種の選択どうのこうのはない。ただ、投げる場所が悪かった。もう少し低く、ボールでもいいくらいの気持ちでいくところだった」

 格好の「獲物」を獅子は逃さない。バックスクリーン左横に決勝6号3ランをぶち込んだ。「やっと入ってくれた」。前日までで得点圏打率・108。第3打席までの3三振も全て得点圏に走者がいた。「ずっと責任を感じていた。チャンスの場面で打てていないことは分かっていたし、そういう雑音も入ってきていたので」と安どした。

 連敗は4で止まったものの、10カード連続で勝ち越しがない。エース岸の故障離脱など苦しい投手事情が低迷の最大の要因だが、中村は自分を責めていた。「チームがこういう状態になっているのは自分に責任がある」。4月21日の日本ハム戦(札幌ドーム)で右手首に死球を受けた。「場所が場所だったので、最初はヤバいかなと思った」。患部は腫れ上がり、野球の動きはもちろん、車の運転など日常生活でも強い痛みを感じることは多かった。既に完治したが、万全の状態で試合に臨めなかった期間のもどかしさは心から消えない。

 「まだ体力的に優れない部分もあるけど、彼はライオンズの4番。さすがという仕事をしてくれた」と田辺監督。借金8で厳しい状況に変わりはないが、中村は言い切った。「これからもっと貢献したい。バットで引っ張っていく」。主砲は決して下を向くことはない。(重光 晋太郎)

続きを表示

2016年5月16日のニュース