西武・秋山、214安打!イチ超えからイッキ日本新王手!

[ 2015年10月1日 05:30 ]

<オ・西>8回、シーズン最多安打記録に並ぶ214本目の安打となる適時二塁打を放つ秋山

パ・リーグ 西武16-5オリックス

(9月30日 京セラD)
 西武の秋山翔吾外野手(27)が30日、オリックス戦でプロ初となる5安打の固め打ちでシーズン214安打とし、2010年に阪神のマートンが樹立した214安打のプロ野球記録に並んだ。初回の左翼線二塁打でイチロー(マーリンズ)がオリックス時代の1994年にマークしたパ・リーグ記録の210安打に並び、8回の右翼線適時二塁打で一気に頂点まで上り詰めた。日本選手、左打者では歴代最多記録。今季最終戦となる1日のオリックス戦で記録更新に挑む。

 心なしか早口になった。冷静な秋山も、興奮を隠せない。高みに立った27歳は「うーん」と一呼吸置くと、素直な気持ちを吐露した。

 「ちょっと信じられない。光栄ですが、先輩方の名前の上にいることが信じられない。いつ実感できるのか…」。8回の第6打席。内角高めの138キロ直球を右翼線に引っ張った。阪神・マートン(10年)のプロ野球記録に並ぶ今季214安打目は適時二塁打だった。

 209安打で迎えた初回先頭の打席。見逃せばボールの難しい外角球を左翼線に流して二塁打にした。94年にオリックス・イチロー(現マーリンズ)が記録した日本人最多安打に並び「気持ちが楽になった」。2回には右中間フェンス直撃の2点適時打。一気にイチローを抜き去る。その後も左右に打ち分け「自分でも驚いている」というプロ初の5安打固め打ち。2四球を含む7打席連続出塁。今季27度目の猛打賞は10年にロッテ・西岡(現阪神)が記録した日本記録にも並んだ。

 今季から打撃フォームを劇的に変えた。上段から「点」で打っていたが、トップの位置を下げることで「線」で球を捉えることができるようになった。インパクトまでの距離が近くなり、ボールを呼び込んで打てる。逆方向への安打数は、昨季の36本から73本に。自身も「突然変異」と話すほど急増した。

 142試合を終え、チームで唯一のフルイニング出場。イチローが人一倍念入りな体のケアを行うのは有名だが、秋山も意識を変えた。どんなに疲れていても湯船に漬かる。毎日続けることで水中でしか分からない体の細かい異変を察知し、重点的なケアができる。試合のない休養日に、思い切って体を休めることも始めた。

 200安打を達成してからは伸び悩んだ。9月19、20日の日本ハム2連戦(札幌ドーム)では今季3度目の2試合連続無安打。「打てる気がしない」と弱音も吐いたが、必死に修正した。同25日の練習日からスパイク半歩分の約5センチ、ベースから離れるように打席に立った。「ボールを近くで待とうとしすぎていたので、しっかり打てるポイントで待てるように」。タイミングの取り方も早め、この日の快挙につなげた。

 イチローが野球の枠を超えて社会現象になった94年、がんでこの世を去った父・肇さんの手ほどきで野球を始めた。あれから21年、当時6歳だった秋山少年は球史に一ページを刻んだ。「試合はまだあるので、浸ってはいられない」。残るは1試合。記録更新へ、CS進出へ、全てを懸ける。(神田 佑)

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