創成館 初出場金星 天理にサヨナラ、8・9長崎に白星

[ 2015年8月10日 05:30 ]

<創成館・天理>試合前に黙とうする創成館ナイン

第97回全国高校野球選手権第4日・1回戦 創成館3―2天理

(8月9日 甲子園)
 長崎県にとって「特別な日」に、劇的なサヨナラ勝ちを飾った。2―2の9回2死三塁。4番・鷲崎はボルトが2本入ったままの左肘を畳んで内角直球を振り抜くと、ライナー性の打球が右翼の芝生に弾んだ。

 「大事な日に勝ってやろうという気持ちだけでした。サヨナラは高校で初めて。甲子園で勝ててうれしいです」。1月に疲労骨折で左肘を手術。6月に全体練習に復帰した主砲は、痛みの残る左腕で汗を拭った。

 70年前の8月9日、長崎市内に原爆が投下され、約15万人が命を落とした。前日は宿舎で稙田龍生監督が「県民にとっては特別な日。特別な思いを背負ってプラスアルファの力を出してやろう」とナインに伝えた。原爆が投下された午前11時2分は試合開始予定の直前となるため、試合前練習を終えた10時50分にベンチ前で円陣を組み、1分間の黙とう。アルプス席の応援団は午前11時2分に黙とうをささげた。

 地元出身の2番・嶋田は、母方の曽祖父がおなかの中にいたときに被爆。その体験弾を母から伝え聞いて育った。「ケガだけには気を付けなさい」という言葉が身に染みたという。各自がそれぞれの思いを胸に懸命に戦った。

 チームは13、14年のセンバツに出場したが、いずれも初戦敗退。全国と比べ打力不足を痛感した。選手を鍛え上げた末、三度目の正直で勝ちに結び付けた稙田監督は「特別な日に校歌を歌えて、いい試合をして、なおかつ勝てた。最高です」と締めた。創部53年目。創成館がついに歴史の扉をこじ開けた。 (井上 満夫)

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