中日・若松 亡きスカウトにささぐプロ初勝利「父親のような存在」

[ 2015年6月3日 05:30 ]

<中・西>6回無失点でプロ初勝利の若松

交流戦 中日2-0西武

(6月2日 ナゴヤD)
 天国の恩人に捧げるプロ初勝利だった。3年目でやっと手にしたウイニングボールを握りしめ、中日・若松は自分をプロの世界に導いてくれた故人のことを真っ先に思い浮かべた。

 「今はこの世にいないけど、ドラゴンズに入団させていただいた渡辺スカウトに早くウイニングボールを渡したかった。しっかり投げられて良かったです」

 もちろん初経験のお立ち台でも、開口一番に恩人の名を挙げて目を潤ませた。全国的にはまったく無名だった福岡・祐誠高時代にその才能を見出し、何度も学校に足を運んでくれた渡辺麿史(たかふみ)元スカウトが、昨年2月に57歳の若さで死去。「父親のような存在だった」と振り返る。帽子のツバに故人の名を書き込んでマウンドに上がり、初勝利のボールを霊前に贈ることが、今できる恩返しだった。

 この試合でも得意のチェンジアップを多投。プロ入り後にテレビの野球ゲームで「使えるな」と思い、習得を決断したウイニングショットだ。西武の強力打線を相手に6四死球を与えながらも、そのチェンジアップとストレートの緩急で8三振を奪った。

 「ピンチの時ほど、渡辺さんや野手の方が守ってくれていると思って弱気にならずにいられた」

 連敗を2で止め、3位浮上に貢献。20歳右腕の大仕事を誰より喜んでいる人が天国にいる。

 ◆若松 駿太(わかまつ・しゅんた)1995年(平7)2月28日、福岡県久留米市生まれの20歳。小4から野球を始め投手。祐誠では2年秋からエースで3年夏の福岡大会は2回戦敗退。12年ドラフト7位で中日入り。14年4月3日阪神戦で初登板、同10日ヤクルト戦で初先発。今季推定年俸900万円。1メートル80、75キロ。右投げ右打ち。

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