なんでや…あと1球 呉昇桓9回2死ランナーなしから逆転満塁被弾

[ 2015年6月3日 05:30 ]

<神・ロ>9回2死満塁、角中に右越え満塁弾を打たれた呉昇桓。スタンドには放心の風船が飛ぶ

交流戦 阪神3-6ロッテ

(6月2日 甲子園)
 そんな、アホな…。阪神は2日のロッテ戦(甲子園)で痛恨の逆転負けを喫し、3連敗。4位に転落した。1点リードの9回から投入した守護神・呉昇桓投手(32)が角中にまさかの逆転満塁本塁打を浴びた。これで4連勝発進した交流戦の貯金も1。ここで踏ん張らないと、つかみかけた勢いを逃してしまう…。

 9回2死満塁、場内に鳴り響いた虎党の「あと1球」コールは、一瞬にしてタメ息へと姿を変えた。角中の逆転満塁弾が着弾すると、右翼席の虎党からジェット風船が打ち上げられる始末…。もはや、怒りを通り越していた。試合終了を待たずに、聖地・甲子園には怒号、ヤジが飛び交った。

 「きょうは自分が先にああいう状況を作ってしまったことが反省。(角中に打たれたのは)スライダーだ」

 試合後の守護神は、足早にクラブハウスへ姿を消した。あと1イニング、あと1人、あと1球だった。1点リードの9回。満を持してマウンドに上った呉昇桓はハフマン、岡田を危なげなく打ち取り、2死までこぎ着けた。あと1人―。ここから、悪夢が幕を開けた。

 続く根元、清田に連打を浴びると、鈴木には四球を与えた。2死満塁。この四球が痛かった。同点の走者を三塁に背負ったことで、暴投でも同点、四球でも同点の最悪の状況に陥った。そしてフルカウントとなり、ボール球で勝負することが出来なくなった。9球目のスライダーを、角中に右翼席に運ばれた。4月19日の巨人戦(甲子園)以来、今季2度目の救援失敗。それが、痛すぎる敗戦につながった。

 「2アウトからやからね…。あの四球が一番、痛かった。あそこから、なかなかボール球は投げられないカウントになってしまったからね」

 試合後、何とか平常心を保った和田監督も、鈴木への四球を敗因に挙げた。その胸中は悔しく、腹立たしいものに違いない。あの1球が、3カード連続の先勝と甲子園6連勝をフイにした。上昇気流をつかみかけていたチームの勢いを、寸断しかねない敗戦を招いたわけだ。それでも指揮官は前を向いた。自らにも言い聞かせるように、言葉を絞り出した。

 「(次戦以降に)響かせたらアカン。痛いのは痛いけど、明日、またゲームはあるわけだから。こういう負けを乗り越えていかないと」

 何の因果か、この日、猛虎の背番号22を打ち砕いたのは、四国アイランドリーグplus高知出身の角中だった。1日に元守護神・藤川が入団発表したチーム出身選手に、猛虎の守護神が打ち砕かれてしまった。とはいえ、これはただの偶然にすぎない。こじつける好事家が存在したとしても、そんなものは放っておくしかない。

 ≪満塁被弾は初≫呉昇桓(神)が角中(ロ)に満塁被弾。これまで満塁機は通算9打数無安打4三振と抑えていたが、初の被安打が痛恨の一発となった。また、過去6本の被本塁打の内訳はソロ5、2ラン1で、3ラン以上を許したのも初めて。

 ≪セ球団では葛西以来18年ぶり≫勝利へ「あと1人」から満塁被弾で逆転を許したのは、ソフトバンクが12年4月26日の西武戦(ヤフードーム)で喫して以来3年ぶり。セ球団では阪神の97年9月11日広島戦(広島)以来18年ぶり。6―3の9回に葛西が緒方にサヨナラ被弾している。

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2015年6月3日のニュース