マートン必死の居残り!先発復帰へ 和田監督「ポイントになる選手」

[ 2015年5月13日 05:30 ]

バットを手に気合の表情を見せるマートン

 台風接近の影響でヤクルト戦(神宮)が中止となった12日、阪神のマット・マートン外野手(33)は神宮室内練習場での居残り練習で復調に努めた。打撃不振で10日の広島戦(甲子園)を今季初めてベンチ待機し、13日のヤクルト戦で先発復帰の見込みだ。3連敗中で借金5、最下位に沈む苦境。この男が逆襲の鍵を握っていることは間違いない。

 先に練習を終えた主力組が次々と乗り込んだバスにマートンは乗らなかった。予定されていた練習メニューを終えた後も神宮室内に残った。

 若手組が打撃練習に取り組む傍らで、オマリー打撃コーチ補佐に見守られながらトスされた白球を丹念にネットに向かって打ち返した。打ち終えた後は入念に素振りも繰り返した。ティー打撃で打撃フォームを確認する作業は日常でも黙々と素振りする姿は珍しい。自分の心と向き合うようにバットを振った。

 信じられない打率・233の不振。10日の広島戦では今季初めて先発を外れた。最多安打3度、首位打者1度という誇らしい実績の持ち主にすれば言葉にできない屈辱だろう。何をするべきか。答えは約20分間に及んだ居残り練習に込められていた。練習を終えた若手組と同じバスで宿舎へ。帰途でも球団通訳を通して無言の意思を伝え、最後まで報道陣に向けては言葉を発しなかった。

 和田監督は誰よりも強く復調を願った。「(ベンチ待機だった)おとといも、いつでも出番を待って準備している。この2日間をいい方向にしてくれれば…」。練習のない移動日も合わせれば、3日間の時間ができた。マートンの中で整理された事柄は決して少なくないはずだ。

 昨季は5番として新加入の4番ゴメスを支え、相乗効果で猛虎打線を引っ張った。同じ35試合消化時点で昨季32打点に対して今季は10打点。3分の1以下まで激減した打点は、そのままチームの得点力不足に直結した。だから、和田監督は「ポイントになる選手」と変わらぬ期待を向けた。

 「これから上向きにならないとチームも苦しくなる。実績もあるし、きっかけさえつかめればタイトルをつかめる力もある。ゾーンに入れば、そういう本来のものをみせてくれる」

 黙して語らない背中に周りは立ちのぼる覇気を見たのだろうか。平田ヘッドコーチが「最初からずっと打っていたし、大丈夫でしょう」と太鼓判を押せば、オマリー打撃コーチ補佐も「内角のさばきがよくなった。きょうはいいね」と復調の兆しを強調した。

 本来は打線の中核を担う打者を何試合も先発を外す余裕が、いまの猛虎にはない。13日には先発復帰が濃厚だ。昨季は神宮球場で42打数23安打(打率・548)を記録した。1位のDeNAとは6差。この男の復活を抜きに逆襲はありえない。

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