信頼勝ち取ったルーキー田中 指揮官明言「左右に関わらず使う」

[ 2014年8月11日 08:27 ]

<神・広>顔にテーピングを付けプレイする田中

セ・リーグ 広島7-3阪神

(8月10日 京セラD)
 同一カード3連敗はしない! 広島は10日の阪神戦(京セラドーム)に7―3で快勝。殊勲は、口元の負傷を押して出場したルーキー・田中広輔内野手(25)だ。1点リードの終盤8回、1死三塁で右中間へ適時二塁打を放ち、追い上げる虎を突き放した。5回を7安打3失点の先発・福井が3勝目。4イニングを零封した中崎ら救援陣の好投もキラリと光った。

 胸すく攻撃だった。エース・前田健で初戦に逆転負けし、ドラフト1位・大瀬良で2戦目も落として迎えた第3戦。虎に追い上げられ、今季初の同一カード3連敗がちらつく中で、流れを変える集中打は生まれた。その中心には田中。野村監督は目を細めて言った。

 「広輔が左対左で結果を出し、その1本からいい攻撃ができた。赤松の盗塁も大きかったね」

 4―3の終盤8回だ。先頭・キラが右前打で出塁し、代走に赤松。梵の犠打で二進し、打席には7番・ショートで2試合ぶりにスタメン出場した田中が入った。その3球目に赤松はバッテリーのスキを突いて三盗成功。お膳立ては整った。

 快音が響いたのはカウント3―1からの5球目だ。左腕・加藤が投じた外角高め138キロ直球をジャストミート。打球は右中間を破るタイムリー二塁打となった。喉から手が出るほど欲しかった追加点。背番号63は破顔一笑だ。

 「赤松さんの三盗で楽になった。どうしても点が欲しい場面。外野フライを考えて打席に入ったけど、タイムリーが出てよかったです」

 第1戦のアクシデントが記憶に新しい。不規則バウンドの打球が顔面に当たり、口元から出血。病院で「左上顎部打撲挫創」と診断され、6針縫った。病院から宿舎へ帰った田中は、状態確認する野村監督に「大丈夫。試合には出られます!」と即答。翌9日こそ大事を取ったが、復帰戦ですぐさま結果を出した。

 この一打から打線はつながる。会沢が左越え二塁打を放ち、田中を6点目のホームへ迎え入れると、代打・小窪も左前打で続き、1死一、三塁と好機拡大。トドメは堂林で、左翼へ犠飛を打ち上げダメ押しの7点目だ。

 2連敗後に勝利を挙げるのは今季4度目。虎に3連敗すれば今後にも悪影響を及ぼすだけに、田中の一打は価値がある。その左唇には腫れが残るが、「痛みは多少あるけど、大丈夫です」。指揮官は既に「投手の左右に関わらず広輔を使う」と明言。レギュラー級の評価を勝ち取り、ケガに強いところも見せた。この闘志こそ首脳陣が求めるもの。25歳の未来は明るい。

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2014年8月11日のニュース