原巨人“逆”療法 貧打解消へ徹底8安打中7本逆方向

[ 2014年8月11日 05:30 ]

<巨・中>勝利のハイタッチをする(左から)村田、井端、坂本、坂本、阿部、小林、マシソン

セ・リーグ 巨人2-1中日

(8月10日 東京D)
 まるでVTRのような打撃だった。巨人・阿部は中日先発の雄太の緩い球を最後まで引きつけ、球筋を見極め、振り抜いた。2安打はともに逆方向の左翼へ打ち返した。

 「引きつけてうまく打てたと思います。チャンスだったんで積極的にいって、走者を還せて良かった」。2回、先頭でチーム初安打となる三塁線を抜く一打。104キロのカーブを捉えた。さらに3回2死一、三塁から坂本の右前への先制打の後の打席。初球の122キロスライダーを三遊間へ運び、2点目を加えた。3、4番の連続適時打は今季97試合目で初めて。主将の4番の徹底した打撃に追随するように、8安打中7安打が中堅から逆方向の打球だった。坂本は「チームとして工夫した結果、連打になったと思う」と胸を張った。

 坂本の言う工夫とは何か。雄太は速球と100キロ前後のカーブの緩急を駆使する。準備は試合前の打撃練習から始まっていた。2つの打撃ケージのうち1つは通常より投手の位置を約1・5メートル前に置いた。自然と緩急を生むためだ。打撃コーチから「強引にいかないように」の指示も飛び、選手各自が球を引きつけ、中堅から逆方向への打撃を繰り返した。貧打を急に解消することはできない。だが、脱出の糸口を探るチーム全体の意思が2点へとつながった。

 阿部は4戦連続で一塁を守った。最初の7日DeNA戦(横浜)では拙守を連発。原監督は「ベストの用兵」と話すだけだが、その狙いは捕手での負担を減らして打撃の復調を待つ意図が含まれる。その中で、8月は打率・333と復調の兆しはある。捕手では生まれなかった時間的なゆとりはチームに投下する。試合後、小林には配球面のアドバイスを欠かさない。「いろいろ教えてもらって勉強させてもらっています」と小林。この日の7回終了後には、先発の大竹にも声を掛けた。

 6カードぶりで後半戦初の勝ち越し。2位・阪神との差を再び1・5ゲームとした。原監督は「これをつながりというのではなくて、スタートラインぐらいの中で、さらに打線の中でのつながりを求めていく」と話した。まだ全快ではない。ただ、12日からの阪神3連戦(東京ドーム)へ、結束を固める1勝となったことだけは確かだ。

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