ノーシード国分 涙の初8強!22安打で千葉経大付に打ち勝った

[ 2014年7月23日 05:30 ]

<千葉経大付・国分>がっくりと肩を落とす千葉経大付ナインを背に応援団の方へと駆けだす国分ナイン

 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は22日、36大会で170試合が行われた。千葉大会5回戦ではノーシードの国分が延長12回の末、Aシードの千葉経大付を13―9で下し創部初のベスト8入り。8強に勝ち残った中では唯一の公立校となった。23日は39大会で151試合が行われ、南北海道、青森、秋田、佐賀、宮崎で代表校が決まる。

 試合終了、午後7時12分。照明のカクテル光線が注ぐグラウンドで、4時間7分の死闘、両校合わせて35安打の打撃戦を制した国分ナインの笑顔がはじけた。最後まで声援を送った応援団の前に整列すると緊張の糸が切れて、目を潤ませる選手が続出した。無理もない。2度も同点に追いつかれながら、優勝候補筆頭の千葉経大付を破ったのだから…。

 「打ち合いで千葉経済さんに勝てるとは思わなかった。選手の気持ちの強さを痛感しました」

 就任5年目の重藤融監督は選手の集中力の高さに感嘆した。打つも打ったり22安打。打線を引っ張ったのは6番・飯塚だ。2回に左中間へ適時二塁打を放つと、8回に一挙6点の口火を切る逆転の適時二塁打。そして9―9の同点で迎えた延長12回1死満塁から内角の直球を無心でフルスイング。ぐんぐん伸びた打球は相手左翼手の頭上を越え、決勝の適時二塁打となった。「とにかく開き直って思い切り振った。終わった瞬間はポロって涙が出ました」。興奮で頬を紅潮させた。

 県立校としての意地もあった。40人の選手は全員が中学の軟式野球部出身。地元・市川や松戸からの通学者がほとんどで、過去には高校から野球を始める部員もいたほどだ。「本当に普通の学校。一応は野球部に入るけど、なかなかモチベーションが上がらない子もいたりする」と指揮官。グラウンドもサッカー部や陸上部などと共用と決して恵まれてはいない。それでも「県立校No・1を目指そう」と、冬は毎日1時間半の素振りとティー打撃を続けた。練習前には各選手が自宅から持ってきたおにぎりを食べて、昨夏から全員の体重は平均3キロアップ。12回のゲームノックを行い、延長対策も怠らなかった。

 4回戦はCシードの千葉学芸に3―2の9回逆転サヨナラ勝ち。そして今度は延長12回の劇勝。これまでは1972年の5回戦進出が最高だった同校が、ついにその壁を42年ぶりに破り、歴史的8強を決めた。勢いそのままに、悲願の甲子園までフルスイングを続ける。

 ▽国分 1964年(昭39)に開校された公立校。全校生徒は963人(女子516人)。校訓は「自主・自律」。野球部は創立と同年に創部され、72年夏に千葉大会16強入り。現在の部員数は43人。モットーは「一意専心」。現住所は千葉県市川市稲越町310番地。田辺昭雄校長。

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