坂本 尊敬する長嶋さんの前で先制V打 自室に2ショット写真

[ 2014年7月5日 05:30 ]

<巨・中>6回1死二塁、適時二塁打を放つ坂本

セ・リーグ 巨人4-3中日

(7月4日 東京D)
 試合後のベンチ裏。長嶋氏の魂が乗り移った打球を捕った巨人・坂本は、レジェンド同士の対戦の重みをかみしめるようにゆっくりと口を開いた。

 「金田さんと長嶋さんは凄いし、感動しました。片手でボールをバットに当てるのは凄い、とみんなで話してました」

 長嶋氏の勝負強さが乗り移った。2回2死二、三塁。大野の内角球に左肘を体の外側へ瞬時に引いて振り抜いた。「これぞ、坂本」という内角打ち。左翼フェンス直撃の先制2点適時打に「自画自賛じゃないですけど、うまく打てた」。6回にも再び左翼フェンス直撃の適時二塁打。3打点の活躍に「2本ともいい場面でいいヒットが打てた」とお立ち台で笑った。

 不思議な縁がある。プロ2年目、08年の宮崎春季キャンプ。ミスターから右肩、胸の背番号を触られた。「君の将来を期待しているよ」。その言葉に直立不動だった。同年から遊撃手のレギュラーをつかんだ。触れた若手がその後活躍する長嶋氏の左手は「ゴッドハンド」と呼ばれるようになった。寮生活時代には、自室に長嶋氏と一緒に納まった写真を飾ったほど尊敬する大先輩の晴れ舞台に白星で花を添えた。

 6回には阿部が8号ソロ。フォークを拾い、右手一本で右中間へ運んだ技ありの一打に「まさか入るとは思わなかったよ。あんなに飛ぶとはビックリした」と目を丸くした。新人だった01年。当時監督だった長嶋氏は未熟な阿部を使い続けた。7月の阪神3連戦(甲子園)で3連敗を喫した夜は今でも忘れない。宿舎の自室に呼ばれ「打者というものは実に単純なんだ」と約1時間にわたり、打者心理を説かれた。

 「あの時の経験のおかげで今の自分がある」。特別な一戦で主将の心は燃えたぎった。未来のレジェンド候補生が見せた競演。伝統球団の今を背負う2人が、往年の名選手たちに負けない輝きを放った。

 ≪勝利打点7度目はチーム最多≫坂本(巨)が先制の2点適時打を含む2安打3打点。今季の勝利打点は7度目でチームでは阿部の6度を上回り最も多くなった。6月11日の日本ハム戦から先発1番に復帰したが、12試合で13打点。この間のチームでは長野の10打点を抑え最多打点だ。中日戦は昨年92打数20安打(打率・217)とセの対戦球団では最低打率。それが今季は32打数12安打(・375)と雪辱している。

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