マエケン トップタイ8勝目 今季ワースト9安打も脱帽ギアチェンジ

[ 2014年7月5日 05:30 ]

<広・ヤ>リーグトップタイの8勝目を挙げた前田健

セ・リーグ 広島7-1ヤクルト

(7月4日 マツダ)
 調子が悪くても崩れない。それが、エース。それが、広島・前田健の真骨頂だ。雨による今季初のスライド先発の影響もあって今季ワースト9安打を浴びたが、全て単打だった。要所を締めて7回を1失点。本拠地で無傷の7連勝を飾り、巨人・菅野らに並ぶリーグトップの8勝目を挙げた。

 「ヒットを打たれ過ぎたけど、味方が点を取ってくれたので粘り強く投げることができた」。大事な局面になればなるほど140キロ台後半の直球は勢いを増し、多彩な変化球を低めに集めた。3回1死一、二塁では4番・雄平をチェンジアップで二ゴロ。続く岩村もチェンジアップで空振り三振を奪った。ピンチでギアを上げる投球にヤクルト・小川監督も「走者がいる時といない時の違いがあった」と脱帽した。

 張りを訴えていた左脇腹が完治した6月中旬、前田健は悪い流れを変えようと帽子を新調。つばの裏に野村、大瀬良、中田、小野に一文字ずつ書いてもらった。「人生楽笑」。親交のある広島出身の歌手・TEEが大事にする言葉である。「考え過ぎていたので、もう少し気持ちを楽にと思って」。その効果もあり勝利数だけでなく、防御率2・16もリーグトップの菅野の2・10に肉薄。昨季も交流戦後に数字を大きく伸ばしたタイトル争いの大本命が、自身3連勝と乗ってきた。

 ヤンキースやカブス、マリナーズ、オリオールズのスカウトが視察する中での力投。早ければ今オフにもメジャー挑戦を見据える右腕だが「自分が勝っていかないと、チームは上位に行けない。強い責任感を持って引っ張っていきたい」と今は優勝を最優先に考える。

 首位・巨人を2・5ゲーム差で追走するチームは折り返しの72試合目で40勝に到達。だが、前田健は決して満足はしていない。「悪い時を抜け出せたのは大きいが、求められるのはもっと高いところ」。さらに高みを目指して腕を振り続ける。

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